対数関数(読み)タイスウカンスウ(その他表記)logarithmic function

デジタル大辞泉 「対数関数」の意味・読み・例文・類語

たいすう‐かんすう〔‐クワンスウ〕【対数関数】

aを1でない正の数とするとき、xを正の数として、ylogaxで定められる関数指数関数逆関数

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精選版 日本国語大辞典 「対数関数」の意味・読み・例文・類語

たいすう‐かんすう‥クヮンスウ【対数関数・対数函カン数】

  1. 〘 名詞 〙 数学で、初等関数一つ。正数xに、aを底とするその対数 logax を対応させる関数 y=logax を、aを底とする対数関数という。これは、aを底とする指数関数 y=ax の逆関数と一致する。単に対数関数といえば、底がe(=2.1718…)である自然対数をさすことが多い。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「対数関数」の意味・わかりやすい解説

対数関数 (たいすうかんすう)
logarithmic function

aを1でない正の定数とするとき,任意の正数xに対してayxとなる実数yがただ一つ定まる。このyを,aを底(てい)とするxの対数と呼んでy=logaxと書き,xにlogaxを対応させる関数をaを底とする対数関数という。対数関数y=logaxaを底とする指数関数yaxの逆関数である。

 対数関数の導関数を求めるため,

と変形する。ここでx/htとおくと,上の式は,となり,x>0だからh→±0のときt→±∞(複号同順)となるが,t→+∞としてもt→-∞としても同じ定数に近づくことが示される。その値をeで表す。eは無理数であって,

 e=2.718281828459……

である。eを用いると上の計算から,であるから,対数の底としてeを採用すれば,

となってつごうがよい。eを底とする対数を自然対数と呼ぶ。数学の理論においては,単に対数関数といえばeを底とするものを指し,底e省略してlogxと書く。このとき,一般の正数a≠1を底とする対数関数はlogax=logx/logaとなる。以下,すべてeを底とする対数関数について述べる。

 実変数の関数としての対数関数は,によって定義してもよい。これはx>0を定義域とし,x狭義単調増加関数であって,となる。また(1)により不定積分の公式,
  (積分定数は省略,以下同様)

が得られるが,このほか,初等的な不定積分の公式で対数関数が現れる例として,

をあげておこう。また一般に関数fx)が連続な導関数f′(x)をもてば,

例えば,だから,

(2)とlog1=0とから次のlogxの積分表示を得る。

そこで,複素変数zの対数関数logzを,

によって定義する。(4)においてzが正の実数の場合には,積分路を複素平面上で1からzまで0をまわらないで到達するように選べば,右辺の積分の値は(3)の右辺と同じになるから,このlogzの定義は実変数x>0の関数logxの拡張になっている。(4)において,積分路が0のまわりを正の向きに一周するごとに,積分の値が2πiiは虚数単位)だけ変化し,負の向きに一周すれば-2πiだけ変化する。だから複素変数の関数logzは無限多価関数である。z=1において0になるその分枝は次のように|z-1|<1において収束する,べき級数に展開される。

複素数の極形式を用いると,

 zreiθr(cosθ+isinθ) (r>0)

に対して,

 logz=logriθ   ……(5) 

となる。θをθ+2nπ(n=±1,±2,……)としてもzは変わらないが,(5)の右辺は2nπiだけ変化する。このこともlogzの多価性の反映である。また対数関数については,2πiの整数倍の差を無視することにより,等式,

 log(z1z2)=logz1+logz2

が成り立つ。これは指数関数の満たす等式に対応するものである。

 対数関数は,代数関数や指数関数とともに初等関数を構成する要素である。三角関数が指数関数を用いて表されるのと同様に,逆三角関数累乗根(代数関数の一種)と対数関数とを用いて表される。


指数関数 →対数
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「対数関数」の意味・わかりやすい解説

対数関数
たいすうかんすう

変数xにその対数の値を対応させる関数のこと。a(a>0,a≠1)を底とする対数関数をy=logaxで表す。y=logaxとはx=ayのことだから、対数関数は指数関数の逆関数である。y=logaxのグラフは、y=axのグラフを、直線y=xを軸として折り返せば得られる。logaxは、すべての正の実数xについて定義された関数で、loga1=0である。a>1のときは増加関数で、

0<a<1のときは減少関数で、

対数関数について、次の公式が成り立つ。

  logaxy=logax+logay
  logaxk=klogax
  logab・logbc=logac
 a=10、すなわち10を底とする対数を常用対数という。対数の底として10を使うのはわれわれが十進(じっしん)記数法を採用していることによる便宜的なものであり、数学的な根拠があるわけではない。数学では、数eを用いるのが普通である。とくに微分積分法との関連においては、諸公式を簡明にするので自然である。すなわち、

となる。eを底とする対数を自然対数といい、数学では、単にlogxと書けば、eを底とする対数を意味する。これを、自然対数をラテン語で書いたlogarithmus naturalisを略した形でlog nat、あるいはlnと書くこともある。たとえばln(1+x)はloge(1+x)を意味する。

 対数関数の値を計算するとき、次の展開式を利用する。


たとえばlog2は第二の式でx=1/3とすれば求められる。

 常用対数は、スコットランドのネーピアによって1615年ころにみいだされ、その後イングランドのブリッグズによって改良され、一般に用いられるようになった。ケプラーはネーピアからの知らせに驚喜してこれを活用し、有名なケプラーの法則の発見に至る計算をしたという。一方、

という関係は、1650年ころ、ベルギーのサン・バンサンGregorius Saint Vincent(1584―1667)によってその端緒が得られ、17世紀を通じて、だいたい確立された。

[竹之内脩]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「対数関数」の意味・わかりやすい解説

対数関数
たいすうかんすう
logarithmic function

a ( a>0 ,a≠1 ) を底とする x の対数 yxay すなわち y= log axxy の間の関数関係と考えたとき,ya を底とする x の対数関数という。対数関数 y= log ax は指数関数 yax の逆関数であり,0<x<+∞ で定義された連続かつ狭義の単調関数である。ただし a>1 のときは単調増加関数,1>a>0 のときは単調減少関数である。

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