少年団(読み)ショウネンダン

デジタル大辞泉 「少年団」の意味・読み・例文・類語

しょうねん‐だん〔セウネン‐〕【少年団】

集団的な諸活動を通して、少年男女の精神・身体を鍛練することを目的とする団体。ボーイスカウトなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「少年団」の意味・読み・例文・類語

しょうねん‐だん セウネン‥【少年団】

〘名〙 少年の健全な育成を目的に、精神的・肉体的な発達を、社会訓練を通して行なう組織団体。イギリスボーイスカウトに端を発し、各国に普及したが、大正四年(一九一五)以来日本でも発達した。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「少年団」の意味・わかりやすい解説

少年団
しょうねんだん

集団的な諸活動を通して、少年たちを育成・訓練する団体をいう。20世紀の初め、ボーイスカウト運動の国際的展開に触発され、日本の各地に明治末から大正初期にかけて結成された各種の少年団体の、第二次世界大戦中までの一般的呼称である。つまり、小学校の中・高学年ないし高等小学校中等学校の2、3年生までの年齢層(9~14、15歳)を含む少年たちの学校外教育活動のための団体であった。集団的な訓練や、社会参加・社会奉仕の機会提供などによって、学校教育では十分には実現できない人間教育の側面を担当する活動体として大きな期待をもたれ、社会的にも高く評価されていた。しかし、日中戦争後は、その性格を国家主義的なものへと傾斜させざるをえなくなり、太平洋戦争勃発(ぼっぱつ)の年1941年(昭和16)大日本青少年団への統合によって、機能も役割も変質することになった(少年団のなかには解体させられたものもあった)。

 少年団の多くは、篤志家ボランティア)たちによって後見もされ指導もされたが、赤十字少年団のように学校単位で組織されたものもあった。とくに、1932年(昭和7)の文部省の「校外生活指導に関する訓令」以後結成された「学校少年団」といわれたものは、教員たちによる校外指導の一形態をなすものであった。一般の少年団では、ごく普通には体育的なレクリエーション活動が主となっていたが、ときには学業の補習や創作活動の推進などが行われた。多くの少年団では、少年たち個々人としての、また団としての特別な奉仕活動が奨励され、たとえば農作業などについての補助的作業や、道路や神社の清掃といったことなどが、目的のなかに入っていた。

 一般に少年団は、学級や学年や、さらには学校間の壁を越えた地域的なまとまりのなかで、異年齢者相互間の共働を導き出すだけでなく、教員とは異なるボランティアとしての年長者たちとの接触・共働を通して、より開かれた世界への開眼や自己編入を健全な方法で助ける、というところに存在意義があったといえる。

 なお、当時「少年団」といえば、ボーイスカウトのように男児だけをさすものがある一方、「少女団」の呼称はなく、学校少年団や赤十字少年団などのように男女児混成のものも少年団の名でよばれた。第二次世界大戦後では、1951年(昭和26)日本海洋少年団、61年には日本スポーツ少年団が発足した。また、戦後「子ども会」の名称をとるものが増えた。最大の組織としては「全国子ども会連合会」に結集している地域子供会がある。

[藤原英夫・上杉孝實]

『田中治彦著『学校外教育論』(1988・学陽書房)』『上平泰博・田中治彦・中島純著『少年団の歴史――戦前のボーイスカウト・学校少年団』(1996・萌文社)』『田中治彦著『少年団運動の成立と展開――英国ボーイスカウトから学校少年団まで』(1999・九州大学出版会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「少年団」の意味・わかりやすい解説

少年団 (しょうねんだん)

成人団体が独自の目的に沿った青少年像の育成のために,少年少女を目的意識的に組織し,集団的な諸活動を通して指導するための教育訓練機関。〈子ども会〉と類似性をもつが,少年団の場合は綱領,規約,目的がより明確であり,構成員の集団帰属意識がつよく,活動も組織的・計画的・継続的な広域団体である。団体の目的によって形態は多種多様であるが,歴史的源流は,(1)ボーイ・スカウトの流れをくむもの,(2)ピオネールの流れをくむもの,(3)青少年赤十字の流れをくむもの,に大別できる。そのほかナチス・ドイツにおけるヒトラー・ユーゲントファシズム・イタリアのバリラBallilaのように国家権力が直接統合した少年団も生まれた。

 日本では明治末年少年義勇団としてボーイ・スカウトが紹介され,小柴博による東京少年団(1913)などの少年団が各地につくられ,1923年〈少年団日本連盟〉を結成し,ボーイ・スカウト世界連盟に加盟した。1922年には博愛主義をかかげた少年赤十字が小学校単位に組織されている。こうした国際主義に対抗し,大正年代には武士道精神を鼓吹する岳陽少年団乃木少年団など国粋主義的な少年団も作られた。また昭和初年にはソ連のピオネールの影響を受け,小作争議や労働争議のなかで労農少年団や無産少年団が組織されるとともに,水平運動のなかでは少年水平社がつくられ,反権力の運動が展開された。しかし満州事変以降国家の統制が強化され,32年の文部省訓令により学校少年団づくりが始まり,41年にはすべての青・少年団が解散・統合されて大日本青少年団に一元化された。第2次大戦後は47年にボーイ・スカウト日本連盟が再建され,51年には日本海洋少年団連盟が,61年には日本スポーツ少年団(スポーツ少年団)が発足した。さらに72年には,少年団の自主的・民主的発展をめざす〈少年少女組織を育てる全国センター〉が発足。
子ども会
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「少年団」の意味・わかりやすい解説

少年団【しょうねんだん】

少年たちに集団生活をさせ,その自治活動ならびに対社会的活動を通じて心身ともに健全な社会的人間を形成する目的のために結成された団体。19世紀末以降,各国の社会体制に応じてさまざまな組織が結成されたが,とりわけ,1908年英国で創設されたボーイ・スカウトをはじめガール・スカウト青少年赤十字ピオネール等は著名である。このほか日本では4Hクラブ日本海洋少年団,スポーツ少年団等がある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「少年団」の意味・わかりやすい解説

少年団
しょうねんだん

少年の集団組織。その活動を通して自治性や社会性など社会人として必要な資質の育成を目的としている。ボーイスカウト,ピオネール,青少年赤十字などが有名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の少年団の言及

【子ども会】より

…健全な娯楽や遊び,レクリエーション,スポーツ,文化活動,学習,創作,社会奉仕などの自主的集団活動をとおして,子どもの地域生活の充実と豊かな成長・発達を保障するために,父母・住民によって育成された異年齢の地域子ども組織。〈少年団〉と類似しているが,組織の対象,目的,内容,形態,育成主体の諸点においてより多様性をもち,地域網羅的性格に特色をもつ。子ども会の原形は,古くは村落共同体の子供組や子供衆などの慣習的な子ども集団の中にみることができる。…

【ボーイ・スカウト】より

…1908年イギリスのベーデン・パウエルR.S.Baden‐Powell(1857‐1941)によって創始された少年団組織とその運動。女子の組織はガール・スカウト。…

※「少年団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android