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長野県茅野市豊平南大塩にあり,八ヶ岳西麓に発達した縄文時代中期の代表的な遺跡。1940年頃から地元の考古学者宮坂英弌(ふさかず)(1887-1975)が独力で発掘を続け,多数の住居址群や遺物を発見した。日本における原始集落研究のさきがけをなした学史的にも重要な遺跡で,52年には国の特別史跡に指定された。尖石遺跡と浅い沢一つへだてた台地上にある与助尾根遺跡は,終戦後の47年から本格的に発掘されて,台地上にあった28ヵ所の竪穴住居址が全掘され,縄文中期の集落構成を研究するための良好な材料を提供した。なお80年には尖石,与助尾根両遺跡に接して茅野市尖石考古館が新築開館し,尖石遺跡の莫大な発掘品や付近一帯のすぐれた考古資料を豊富に収蔵,陳列している(2000年新たに尖石縄文考古館が完成)。
執筆者:戸沢 充則
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長野県茅野(ちの)市豊平(とよひら)東嶽(ひがしだけ)にある縄文時代中期の集落遺跡。八(やつ)ヶ岳西山麓(さんろく)標高1070メートルの帯状台地に展開する。研磨痕(こん)の残る高さ1.1メートルの三角錐(すい)形の「尖石」が古くから知られ、遺跡名はこれに由来する。村人からも変人扱いされた宮坂英弌(ふさかず)(1887―1975)が、昭和10年代なかばから独力で発掘調査を続け、多数の遺物や竪穴(たてあな)住居址(し)・炉址を検出して注目されてきた。その後さらに対岸にある与助尾根(よすけおね)遺跡の調査により、中央空間を広場とする典型的集落構成が露呈され、わが国における縄文時代集落址研究の嚆矢(こうし)となり、井戸尻(いどじり)遺跡などとともに八ヶ岳山麓は日本を代表する遺跡密集地域となった。遺物、とりわけ蛇身装飾付深鉢をはじめとする豪華雄渾(ゆうこん)な土器群は圧巻である。1952年(昭和27)特別史跡に指定された。近くに茅野市尖石考古館がある。
[樋口昇一]
長野県茅野市豊平の八ケ岳西麓にある縄文中期の集落遺跡。遺跡のある台地の南斜面に三角錐形の通称「尖石」が直立し,遺跡名はこの石にちなんだもの。北方には中期の与助(よすけ)尾根遺跡が隣接する。1940~42年(昭和15~17)宮坂英が全面的な発掘調査を実施し,竪穴住居跡33軒などを検出。この発掘は,縄文集落の全体的構造の解明を企図した最初の学術調査として,学史上画期的な意義をもつ。なお宮坂の調査以前にも周辺から竪穴住居にともなう石囲い炉が合計53基発見され,その分布から遺跡の規模は東西300m,南北200mほどの範囲に及ぶものと推定される。国特別史跡。
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