屈む(読み)カガム

デジタル大辞泉 「屈む」の意味・読み・例文・類語

かが・む【屈む】

[動マ五(四)]
腰などが前に曲がる。「腰が―・む」
腰やひざを折り曲げて姿勢を低くする。しゃがむ。「―・んでのぞきこむ」
[可能]かがめる
[動マ下二]かがめる」の文語形
[用法]かがむ・しゃがむ――「前の人はかがんで(しゃがんで)ください」などでは相通じて用いられる。◇「かがむ」は「前かがみの人」などのように前傾の姿勢をもいうが、「しゃがむ」はひざを曲げ腰を落とすからだ全体の動作を表す。「道ばたにしゃがんで話し込む」◇類似の語に「うずくまる」がある。「うずくまる」は頭も前に曲げ、からだ全体を丸く小さくする動作で、「物陰にうずくまる」「子犬がうずくまって寝ている」などと用いる。
[類語]こごむしゃがむかがめるこごめるしゃがみ込むへたり込むうずくまるつくばう膝を抱く膝を折る膝を屈める

こご・む【屈む】

[動マ五(四)]
足や腰を曲げて姿勢を低くする。かがむ。しゃがむ。「―・んで靴紐を結ぶ」
背をまるく曲げたかっこうになる。猫背のようなからだつきになる。
其日は風が強く吹いた。勝は苦しそうに、前の方に―・んで馳けた」〈漱石こゝろ
[動マ下二]こごめる」の文語形。
[類語]かがむしゃがむかがめるこごめるしゃがみ込むへたり込むうずくまるつくばう膝を抱く膝を折る膝を屈める

くぐ・む【屈む】

[動マ四]からだを折り曲げる。からだを小さくしてしゃがむ。かがむ。
「さし―・みて御覧ずれば」〈義経記・二〉
[動マ下二]腰を曲げて身を低くする。かがめる。
「ひさかたのあまつみ空は高けれど背を―・めてぞ我は世に住む」〈夫木・一九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「屈む」の意味・読み・例文・類語

かが・む【屈・亀】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙 ( 古く「かかむ」とも )
    1. 折れ曲がる。多く、腰、手、足、指など体の部分についていう。また、身を低くしてしゃがむ。うずくまる。あるいは、縮む。こごむ。
      1. [初出の実例]「膝攣はひざがかかうたぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
      2. 「久しう見ぬ間にことの外腰がかがふだが」(出典:虎明本狂言・腰祈(室町末‐近世初))
    2. 人目を忍んでうずくまり隠れる。物陰などに潜む。
      1. [初出の実例]「蟄 カガム」(出典:文明本節用集(室町中))
      2. 「どこにかがんで、此の苦をかける」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)下)
    3. ( 亀 ) =かがまる(屈)
      1. [初出の実例]「亀の甲のわるるやうに手のひひきのるるを云 然は手もかかむ」(出典:古活字本荘子抄(1620頃)一)
      2. 「ステッキ持つ手亀(カガ)まむとす」(出典:自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉湘南雑筆)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙かがめる(屈)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙かがめる(屈)
    1. [初出の実例]「上がりがまちに腰を掛けて、上体をかがんで」(出典:巷談本牧亭(1964)〈安藤鶴夫〉金魚玉)

こご・む【屈・踞】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
    1. 背をまるくし、腰や膝を折り曲げる。かがむ。
      1. [初出の実例]「弓は久しく手を触れずおけば、反りここむ物也」(出典:古今私秘聞(1508)一二)
      2. 「おのが家にこごんで這入る角力哉」(出典:俳諧・文政句帖‐八年(1825)八月)
    2. ( 比喩的に ) 屈する。卑屈な態度をとる。
      1. [初出の実例]「わかい時にうでこきを立て、人にここまぬぞ」(出典:玉塵抄(1563)五三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙こごめる(屈)

くぐ・む【屈】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
    1. からだをおりまげた状態になる。かがむ。くぐまる。こごむ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    2. 折れ曲がる。〔羅葡日辞書(1595)〕
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙くぐめる(屈)

屈むの補助注記

「くぐせ」や「くぐる」と同根か。また、「かがむ(屈)」「かがまる(屈)」などや、後世の「こごむ」「かごむ」とも関係があると思われる。ただ「かがむ」が手や足などを折り曲げて背を低くするのに対して、「くぐむ」は「せくぐむ」のように背を折り曲げることにいうようである。


つぐな・む【屈・蹲】

  1. 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 ( 「つくなむ」とも ) 身をかがめる。しゃがむ。うずくまる。また、じっとしている。
    1. [初出の実例]「何時の間にか下太公の木兎(みみづく)掛物の下に蹲踞(ツグナン)で、置ものの化ものと成て居る」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)四)

こが・む【屈】

  1. 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 「かがむ(屈)」または「こごむ(屈)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「車にこがみのんぬ」(出典:平家物語(13C前)八)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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