(読み)ソウ(その他表記)sheaf

翻訳|sheaf

デジタル大辞泉 「層」の意味・読み・例文・類語

そう【層】[漢字項目]

[音]ソウ(漢)
学習漢字]6年
重なる。重なったもの。「層雲下層重層断層地層表層成層圏電離層
階を重ねた建物。階。「階層高層
ある基準で区分した、人々の集団。「知識層・中間層読者層
程度が大きいことを表す語。「一層大層

そう【層】

[名]
積み重なっているもの。重なり。「をなす」
地位・身分・職業や生活状態・意識などによって区分した集団。階層。「国民の幅広いに支持される」「ファンが厚い」
地層を区分するときの単位。累層。
[接尾]助数詞建造物などの重なりを数えるのに用いる。「三の塔」
[類語](2階級階層クラス

こし【層】

高い建物の階層の一つ一つ。しな。
朱雀門の上の―に」〈今昔・二四・一〉

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精選版 日本国語大辞典 「層」の意味・読み・例文・類語

そう【層】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. かさなっていること。また、かさなりの一つ一つ。累積。〔五国対照兵語字書(1881)〕
      1. [初出の実例]「水に近い下から上へ順々に層をなして、緑から藍に、藍から紫紺に、紫紺から紫がかった紅ゐに」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の散歩)
      2. [その他の文献]〔潘岳‐為賈謐作贈陸機詩〕
    2. 能力や職業、生活状態、意識などが等しい集団のかさなり。「読者層」「層が厚い」 〔大増補改訂や、此は便利だ(1936)〕
    3. サンプリング調査で層化抽出法を行なう際、母集団を分割して得られるおのおのの群。
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 建造物などのかさなりを数えるのに用いる。階。
    1. [初出の実例]「『ガラントホテル』は、屋の高さ五層にて」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
    2. [その他の文献]〔梁書‐処士伝〕

こし【層】

  1. 〘 名詞 〙 建築物の階の重なり。建物の屋の階層。しな。
    1. [初出の実例]「百済川の側(ほとり)に九の重(コシ)の塔を建つ」(出典:日本書紀(720)舒明一一年一二月(図書寮本訓))

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普及版 字通 「層」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

(旧字)
人名用漢字 15画

[字音] ソウ
[字訓] かさなる・たかどの

[説文解字]

[字形] 形声
声符は曾(そう)。曾は(そう)(こしき)の初文。は〔説文〕八上に「重屋(ちやうをく)なり」とあり、重層の家をいう。すべて累層をなすものを、層楼・層雲のようにいう。

[訓義]
1. かさなる、かさなる建物、たかどの。
2. だん、だんをなすもの。
3. たかい。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 志奈(しな)、乃己志(たふのこし)〔和名抄 乃古之(たふのこし)〔名義抄〕 シナ・カサヌ・シキル・タフノコシ・コシ・タカシ/ カサネカマヘタリ

[語系]
・曾dzng、(増)tzngは声義近く、が上下重なる器であるように、すべて上下に累増するものをいう。

[熟語]
層阿・層雲・層楹・層崖・層閣・層観・層巌・層穹・層級・層空・層軒・層構・層廝・層次・層・層出・層霄・層城・層畳・層層・層台・層塔・層濤・層冰・層壁・層峯・層巒・層累・層楼・層浪
[下接語]
一層・下層・階層・外層・基層・軒層・交層・高層・鉱層・重層・峻層・上層・深層・翠層・石層・炭層・断層・地層・塔層・半層・表層・油層・稜層

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改訂新版 世界大百科事典 「層」の意味・わかりやすい解説

層 (そう)
sheaf

層は現代数学,とくに幾何学関数論,さらには微分方程式論などで広範囲にわたって利用されている重要な概念である。層は非常に一般的な考えであり,数学における種々の概念を統一的に扱ったり,問題を定式化するのに有効な道具である。もともとは,1940年代後半に岡潔が多変数関数論の研究の中で,現在の前層にあたるものを利用した。岡はそれを不定域イデアルと呼んだが,他方同じころ,これとは独立にルレーJ.Leray(1906-98)が同様なものを考えた。その直後,H.カルタンらが層の一般論を展開,多変数関数論に有効に利用した。セールJ.P.Serre(1926- )は層の概念が代数幾何学において非常に有効であることを示した(1955)が,それはその後の代数幾何学の発展の基礎となった。

 位相空間Xの各開集合Uアーベル群(環,R加群など)FU)が対応していて,VUのとき,準同型ρv,uFU)→FV)が与えられているとする。もし,ρu,uが恒等写像で,WVUならば,

 ρu=ρw,v・ρv,u

となっているとき,この{FU),ρv,u}をX上のアーベル群(環,R加群)の前層という。Xのかってな開集合Uの任意の開被覆U=∪Uiを取ると,

(1)すべてのiについて,となるabFU)は一致する,

(2)各iについて,aiFUi)が与えられていて,がすべての組(ij)で成り立つならば,FU)の元aで,となるものが存在するという2条件を満たすとき,この前層は層であるという。

 Xが一次元ユークリッド空間のときの,FU)={有理関数fx)/gx)で,ga)≠0,≏aU},あるいはXが複素n次元(n≧1)空間のときの,FU)={U上解析的な関数}として,ρv,uはいずれの場合にも関数の定義域UからVに制限する写像とすれば,両方とも層になっている。しかし,Xn次元ユークリッド空間で,Uが空でない開集合ならば,GU)=Z(整数全体がなすアーベル群),空集合φについてはG(φ)={0}とおく。UV≠φのときはρv,uZの恒等写像,ρφ,u=0と決めれば,{GU),ρv,u}は前層であるが,層ではない。実際,開集合Uが二つの空でない開集合U1U2の和集合UU1U2で,U1U2=φとする。abZが相異なるとして,aGU1),bGU2)と考えると,であるから,Gが層であるならば,cZGU)で,となるものがなければならない。しかし,だから,このようなcは存在しない。この前層G位相幾何学で重要なものである。
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知恵蔵 「層」の解説

コンピューターの構造と動作は、種々の抽象化(システムを眺める時の視点、システムのモデル)のレベルで理解することができる。そのレベルを層または階層と呼ぶ。処理の単位のサイズが細かくなる方向が下で、逆にサイズが大きくなる方向が上となる。下位ほど物理的な世界に近付き、上位ほど人間的な世界に近付く。各層では、直下の層のいろいろな機能を抽象化して要素(素子)とし、それらの要素を組み合わせて機能を実現している。階層構造は、情報ネットワークにつながった製造企業の異なるコンピューター相互間で、柔軟な通信を実現するOSI参照モデルなどで典型的に見られる。ハードウエアの構造についても同様の視点から理解することができる。コンピューターのハードウエアをレジスターと演算器の集まりであるという視点で見れば、メモリーと命令解読器と演算器から成り立っている。命令解読器の内部を子細に見れば、多くの論理素子が組み合わさって命令解読という機能を実現している。その論理素子の1つの論理否定素子(NOTゲート)の内部は、トランジスターや抵抗などの回路素子が組み合わさった電子回路。電子回路層では、回路を流れる電流と電圧の値が本質であるが、上位の論理回路層では、電流・電圧の大小を0と1に対応させ、その動きを2進数(記号)の論理演算であると解釈している。このように、各層はシステムを眺める視点の変化に対応しており、実際にはコンピューターの内部に、目に見えるような形で多層なハードウエアが積み重なっているわけではない。

(星野力 筑波大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「層」の意味・わかりやすい解説


そう
formation

地層を岩相単位で区分する場合に用いられる基本的な単位で、部層より一段階上、層群より一段階下のもの。累層ともいう。通例、岩質の点で同一の特徴をもった一連の地層で、岩質の急変するところで層を区分する。層にはさまざまな厚さのものがあるが、普通、地質図に表記できる程度のものが用いられる。命名するときは、模式地名をつけて、たとえば成田層というように用いられる。層はかならずしも部層に区分されるとは限らない。

[村田明広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「層」の意味・わかりやすい解説


そう
sheaf

数学用語。たとえば解析多様体を考える場合に,各点の開近傍についてはその上の解析関数全体を考えることができるが,多様体総体として大域的に考えるためには,局所的に考えられたものを全体につないだものが考えられなければならない。このためにつくられたのが層の概念である。それは,位相空間 X の開集合 U ごとに集合 S(U) が考えられて,位相による U のつながりに関して S(U) がつながったものを考えればよい。 20世紀後半以降,さまざまの領域で層の概念が考えられ,いまでは圏の理論として抽象的に考えられるようになっている。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「層」の解説

ISOが提唱し、標準化されたOSIにおける7つの層のこと。または、レイヤーのこと。

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岩石学辞典 「層」の解説

累層

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