昭和・平成期の文芸評論家,詩人,翻訳家
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
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文芸評論家。鳥取市に生まれ、長野県佐久で育ち、野沢中学(現野沢北高校)を卒業。山室家は信州・岩村田藩の家臣。父は大沼枕山(ちんざん)の系統を引く漢詩人。初め郷里で代用教員、上京後岩波書店などに勤め、ついでプロレタリア科学研究所に入り本多秋五(しゅうご)、平野謙(けん)を知る。彼らを誘い『批評』(1936)を創刊。30歳を過ぎて東北帝大法文学部に入り阿部次郎や岡崎義恵(よしえ)に学ぶ。公式的なマルクス主義を脱し評論集『現在の文学の立場』(1939)を刊行。『構想』『現代文学』同人を経て、第二次世界大戦後は『近代文学』同人。同時に信州の農村の青少年を対象にユニークな「高原学舎」の建設に力を入れ、さらに季刊文芸誌『高原』をも発行。北欧の童話・民話にも深い関心をもち、『北欧文学の世界』(1969)などを刊行。現場の文芸評論家というよりも、それと一歩の距離をつねに保持、後衛としての内部の声を表現した。詩人、エッセイストでもあり、『アンデルセンの生涯』(1975)で毎日出版文化賞を受賞した。
[紅野敏郎]
『『山室静著作集』全6巻(1972~73・冬樹社)』▽『『山室静自選著作集』全10巻(1992~93・郷土出版社)』▽『『アンデルセンの生涯』(社会思想社・現代教養文庫)』▽『『北欧文学の世界』(1987・東海大学出版会)』
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