上方(かみがた)舞の流派。流祖は初世山村友五郎(ともごろう)(1781―1844)で、のち山村舞扇斎吾斗(ぶせんさいごと)と号した。大坂に生まれ、歌舞伎(かぶき)俳優であったが、3世中村歌右衛門(うたえもん)に起用され、上方歌舞伎の振付師に転じた。天保(てんぽう)期(1830~44)の名振付師として劇場舞台における優れた作品を生むと同時に、座敷舞としての山村の舞をつくりあげた。おもな作品に『三つ面椀久(みつめんわんきゅう)』『江戸土産(えどみやげ)』などがある。初世没後は養子の2世友五郎(1816―88)が「新町の山村」として活躍し、山村の舞を大成した。また彼の義姉妹の二人(初世の養女)の山村れんは「九郎右衛門町の山村」、山村登久(とく)は「島の内の山村」とよばれ、ともにその舞を伝えた。1949年(昭和24)に島の内系の山村若(わか)(1905―91)が4世宗家を名のった。現在はその孫、若が6世宗家である。現在、新町系の山村、また北山村、東山村などがある。人間国宝の山村たかは新町系の出身であった。
[如月青子]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
日本舞踊の上方舞の流派名。天保年間(1830-44)に大坂で名振付師として活躍した初世山村友五郎(ともごろう)(のちの初世舞扇斎吾斗(ぶせんさいごとう))を流祖とする。初世は《慣(みなろうて)ちょっと七化》や《三つ面椀久》などを振り付け,地歌や能を舞にとり入れて上方舞を完成させた名手だが,その伝統は2世友五郎(新町に住んだので〈新町の山村〉とも),養女の山村れん(九郎右衛門町),同じく養女の山村登久(島の内)に継承され,明治の大阪芸界を風靡(ふうび)した。現在の4世宗家は島の内系の山村若(わか)(1905-91)で,新町系,北山村,東山村などの系統がある。
執筆者:柴崎 四郎
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…さらに新舞踊からも新流派はあり,藤蔭流,五条流,林きむ子(1886‐1967)の林流,西崎緑の西崎流がある。上方舞では篠塚文三郎(?‐1845)を祖とする篠塚流,井上八千代の井上流,山村友五郎による山村流,楳茂都(うめもと)扇性の楳茂都流,吉村ふじ(?‐1909)の吉村流等がある。歌舞伎舞踊【菊池 明】。…
※「山村流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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