出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
滋賀県大津市石山内畑(いしやまうちはた)町にある真言宗醍醐(だいご)派の寺。岩間山正法寺(しょうぼうじ)と号し、通称を岩間寺という。西国三十三所第12番札所。寺伝によると、722年(養老6)元正(げんしょう)天皇の病気平癒を祈願した泰澄(たいちょう)が、勅によって七堂伽藍(がらん)を建立したのが創建という。往時は熊野(くまの)、吉野に次ぎ第三の霊場として尊崇された。本尊の千手観音(せんじゅかんのん)像は「雷除(よ)け観音」「汗かき観音」といわれる。由来によると、落雷による伽藍焼失が相次ぎ、その罪を責められた雷神が、「仏門に入りたく寺を訪ね、雷火のために迷惑をかけたが、今後はこの寺への参詣(さんけい)者に雷除けをする」といって岩を爪(つめ)でかいて水を出したのによるという。地蔵菩薩(じぞうぼさつ)像、不動明王像、矜迦羅(こんがら)・制吒迦(せいたか)童子像は国の重要文化財。芭蕉(ばしょう)はこの奥にあった幻住庵(げんじゅうあん)に滞在「先(まづ)たのむ椎(しひ)の木も有夏木立」の句を詠んだ。
[中山清田]
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