日本大百科全書(ニッポニカ) 「崎津」の意味・わかりやすい解説
崎津
さきつ
熊本県天草市(あまくさし)河浦(かわうら)町西部の地区。旧崎津村。天草下島(しもしま)の中央、羊角(ようかく)湾の北岸に位置する。1569年(永禄12)天草氏の招きで来航したポルトガルのアルメイダがキリスト教を住民に伝えた集落の一つで、1805年(文化2)キリシタン発覚事件が生じるまで信仰が伝えられた「隠れキリシタンの里」でもある。今日、海面に端麗かつ重厚な姿を漂わせるゴシック建築の崎津天主堂は、1886年(明治19)建てられたもの(1934年改築)。「血税一揆(いっき)」(1873)で知られる明治新政府の徴兵令に対する県民の反対の先鞭(せんべん)をなしたのも、この地の人々である。
[山口守人]
〔世界遺産の登録〕崎津集落は、2018年(平成30)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ「天草の﨑津集落」として、世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[編集部 2018年9月19日]