日本大百科全書(ニッポニカ) 「川根」の意味・わかりやすい解説
川根
かわね
静岡県中部、榛原郡(はいばらぐん)にあった旧町名(川根町(ちょう))。現在は島田(しまだ)市の北西部を占める一地区。旧川根町は1955年(昭和30)下川根村が町制施行し、改称。2008年(平成20)4月島田市に編入。旧町域は赤石(あかいし)山脈の前山にあたる地域で、標高150~1100メートルの間に立地している。大井川鉄道、国道473号が通じる。面積の90%を林野が占め、スギ、ヒノキの用材を産出。茶(川根茶)の生産も盛んで、農業総生産額の90%を占める。1931年(昭和6)大井川鉄道の開通や道路整備により、隔絶性の強い山村から脱却した。大井川の蛇行は鵜山七曲(うやまななまがり)の景勝地をなしている。そのほか、笹間(ささま)川ダム、笹間川渓谷、野守(のもり)の池、落ち着いた山村のたたずまいなどに恵まれ、東海自然歩道が横断する。
[川崎文昭]
『『川根町明治百年』(1968・川根町)』▽『『川根町史』全4巻(1989~1999・川根町)』