市子(読み)イチコ

デジタル大辞泉 「市子」の意味・読み・例文・類語

いち‐こ【市子/巫女/神巫】

神霊・生きりょう死霊しりょう呪文を唱えて招き寄せ、その意中を語ることを業とする女性梓巫あずさみこ巫女みこ口寄くちよせ。
神前に奉仕して、神楽かぐらを奉納する少女神楽女かぐらめ神女みこ
[類語]霊媒口寄せ占い師易者八卦見手相見陰陽師巫女みこ巫女ふじょいたこゆたかんなぎシャーマン

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精選版 日本国語大辞典 「市子」の意味・読み・例文・類語

いち‐こ【市子・巫子】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「いち」は斎(いつ)くの意か )
  2. 神前で神楽を演奏する舞姫。神楽女(かぐらめ)神巫(みこ)。一殿(いちどの)。いち。
    1. [初出の実例]「一古娘、依召参上。奉行遷宮事」(出典吾妻鏡‐治承五年(1181)七月八日)
    2. 「あづま哥をうたひまふ女みこを、いち子ともかまばらひともいへり」(出典:咄本・初音草噺大鑑(1698)二)
  3. 生霊(いきりょう)死霊(しりょう)を神がかりして招きよせ、その意中を語る職業の女。梓巫(あずさみこ)。口寄(くちよせ)巫女(みこ)
    1. [初出の実例]「此間口よせの巫子(イチコ)に、慥(タシカ)な便を聞ましたと」(出典:談義本・当風辻談義(1753)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「市子」の意味・わかりやすい解説

市子 (いちこ)

梓巫女(あずさみこ),口寄せイタコなどとも呼ばれる。生霊(いきりよう),死霊(しりよう)と交感し,その意中を伝えることを職業とする者。ほとんど女性に限る業で,神前に神楽を奏する舞姫〈神巫(いちこ)〉からきた呼称のようである。北方民族のシャーマンや沖縄のノロがこの信仰古風を残している。東北地方に広く見られるいたこの〈口寄せ〉は,細々とながら現在でも職業として成り立っている。
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デジタル大辞泉プラス 「市子」の解説

市子

2023年公開の日本映画原作監督:戸田彬弘、脚本:上村奈帆、戸田彬弘。出演:杉咲花、若葉竜也ほか。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「市子」の意味・わかりやすい解説

市子
いちこ

巫女

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旺文社日本史事典 三訂版 「市子」の解説

市子
いちこ

巫女 (みこ) の別称東北では「いたこ」という。

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世界大百科事典(旧版)内の市子の言及

【口寄せ】より

…シャーマン(巫者)が超越霊の憑依(ひようい)をうけて自我喪失の形で発する言葉,またはそうした呪儀を行う宗教職能者をさす。日本のシャーマンは,神社に所属する巫女(みこ)のように神楽や湯立てに奉仕するうちに祭神の憑依(神がかり)によって神託を述べる神社巫女と,民間にあって神仏の憑霊によるかあるいは死霊(ホトケ)の憑依をうけ,その意向を宣告する口寄せ巫女の2種に類別される。かつては前者の活躍がめだったが,神道教説の体系化にともない神社祭祀から巫祝的要素を排除する傾向がたかまるにつれ,神社巫女の形骸化がすすみ,託宣の機能は消滅した。…

※「市子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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