地下水を帯びている地層のうち、とくに井戸や泉にかなりの量の水を輸送し産出することのできる、透水性のよい地層。帯水層は地下水面を有する不圧帯水層と、加圧層に挟まれた被圧帯水層に分けられる。不圧帯水層から一定量の地下水を揚水すると、地下水貯留量の減少分だけ地下水面が低下する。これに対して、同じ量の地下水を被圧帯水層から揚水すると、その帯水層の井戸は不圧帯水層の場合よりもはるかに大きな水位低下を示す。被圧帯水層の水位の変動は、帯水層の透水性や弾性に関係し、地下水貯留量の増減とは直接的な関係はない。利用されている帯水層の大部分は、平野を構成する地層あるいは氷河堆積(たいせき)物中の未固結の砂層または礫(れき)層である。固結した砂岩、割れ目の多い溶岩、溶穴のある石灰岩もよい帯水層になる。
帯水層という概念は、井戸による取水の必要から考え出されたもので、初期の地下水水理学では、帯水層中の地下水の流動だけを問題にしていた。しかし実際には、加圧層を横切る水の流れが存在するので、現在の地下水水文学(すいもんがく)では、帯水層と加圧層を一つのシステムと考え、水循環の一部として地下水の収支や流動を問題にしている。滞水層(たいすいそう)と書かれる用語は語源的にみて不適当である。
[榧根 勇]
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…地下水面のすぐ上には毛管上昇による毛管水帯があり,この部分は水で飽和しているか,ほとんど飽和に近い状態にあるが,その水圧は大気圧よりも低い。井戸へ十分な量の地下水を伝達できるだけの透水性をもつ地層を帯水層という。最も一般的な帯水層は未固結の砂層や礫層で,沖積低地や扇状地に分布する。…
※「帯水層」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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