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水文学 すいもんがくhydrology

翻訳|hydrology

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水文学
すいもんがく
hydrology

地球上の水の循環について研究する科学。地球上の水の発現,物理的・化学的性質,変態,結合,運動を扱う。特に降雨,降雪などの形で地上に落下する水が,海に流れ込み,蒸発して大気中に戻るまでの過程を追究する。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版の解説

すいもんがく【水文学 hydrology】

水文循環を中心的概念として自然界の水を研究する科学。狭義の水文学は地球科学の一部門とみなされ,陸地の水の存在状態,循環,分布,物理的・化学的特質などの基礎的事項を研究する。広義の水文学には,水文循環に関する基礎的研究に基づいて,水資源の開発,水の適正な利用,水と環境との関係,水文環境の保全など,人間と水との好ましい関係を追求する応用的分野も含まれ工学的色彩が強い。狭義の水文学は基礎水文学と呼ぶことができ,具体的な研究対象は降水,遮断,蒸発散,浸透,流出などの水文循環諸過程と,それらを地域的に総合した水収支であり,その成果は水資源開発や国土計画の基礎となる。

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大辞林 第三版の解説

すいもんがく【水文学】

地球上の水について、その状態・分布、物理的・化学的性質、環境との関係などを、循環の視点から研究する学問。その応用分野は、水資源の開発・保全、水質管理、水利・水法など社会・経済面にまで及ぶ。 → 陸水学

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水文学
すいもんがく
hydrology

地球上における水循環を研究し、水利用、水資源の確保、循環型社会環境保全などを考えるための基礎知識を提供する学問分野。1965年から1974年まで、水文学の研究と普及を目的としてユネスコ国際水文学十年計画International Hydrological Decade(略してIHD)が実施されたが、それに先だつ1964年にユネスコが定めた次の定義が広く受け入れられている。
「水文学は地球上の水を対象とする科学であり、地球上の水の存在状態、循環、分布、およびその物理的ならびに化学的特性、さらに物理的ならびに生物的環境と水との相互関係を取り扱う科学である。この場合、人間活動への応答が含まれる。水文学は地球上の水循環のすべての歴史を包含する科学である。」
 IHDの後を受けて、1975年から同じくユネスコによる国際協力事業として国際水文学計画International Hydrological Programme(略してIHP)が開始され、第期(1975~1980)計画、第期(1981~1983)計画、第期(1984~1989)計画、第期(1990~1995)計画、第期(1996~2001)計画、第期(2002~2007)計画が終了し、第期(2008~2013)計画が進行中である(2011年時点)。IHPの目的は、(1)水循環の研究、水資源の評価、水循環に対する人間活動の影響調査、(2)水文学的研究と技術に関する情報の交換、(3)水文学の教育と訓練の促進、(4)参加国の国内における水文学的活動の組織化と発展である。IHPの最終目標は水量と水質両面の水資源管理である。[榧根 勇]

研究分野

水文学のおもな研究対象は、降水、氷雪、蒸発散、湖沼、河川、土壌水、地下水、流出、侵食と堆積(たいせき)、水質、水資源システム、水資源管理などで、広義の水文学には水法(水に関係する法律)も含まれる。水文学の基礎部門は、水循環の素過程を理学的立場から解明することを目的としており、水収支と熱収支、および水循環に伴う物質収支がその中心課題である。また応用部門には工学的水文学、森林水文学、農業水文学、都市水文学、地球水文学などがある。基礎部門の目的は治水・利水などの土木施工上必要となる水文量の平均値、極値、分布型、あるいは時系列の決定である。応用部門では土地の植林や伐採、農地化、都市化、地球温暖化に伴う水循環の実態把握とその予測が研究の中心である。
 水文学を対象によって分類すると、水文気象学、河川水文学、山地水文学、地下水水文学、氷河水文学、湿地水文学などに分けられる。また近年、地球環境問題の深刻化に呼応して、水環境や生物多様性の保全を視野に入れた分野として、生態水文学が新たな潮流を形成しつつある。[榧根 勇]

歴史

水文学の歴史は人類の歴史と同じくらい古く、すでに『旧約聖書』に水循環に関する記述がある。しかしヨーロッパを中心とする世界では、17世紀後半に至るまで神学と石灰岩地帯という地質特性の影響で、海水が地中へ浸透して地下水となり、浸透の過程で淡水に変わり泉となって川へ湧出(ゆうしゅつ)するといういわゆる逆循環説が信じられていた。フランスのアマチュア科学者ペローPierre Perrault(1608―1680)は、セーヌ川源流部における降水量の実測値に基づいて、降水量は河川流量の6倍もあることを明らかにし、1674年に『泉の起源について』という画期的な書物を発表した。同じくフランス人マリオットE. Mariotte(1620―1684)は、セーヌ川の流量を実測して、流出量は降水量の5分の1にすぎないことを明らかにした。またイギリスの天文学者ハリーは、地中海からの蒸発量を計算し、それが地中海へ流入する河川流量の3倍もあることを明らかにし、降水の源として蒸発量は量的に十分であることを示した。これらの3人によって、蒸発―降水―流出という水循環像が実測によって明らかにされ、近代水文学の基礎が確立したのである。
 その後、水に関する研究は湖沼学、河川学、地下水学などとして個別に発達してきたが、IHDを契機としてこれらの個別科学の統合化が進み、水文学は総合科学として科学の世界に確固たる地位を確立するに至った。これらの個別科学を総称して陸水学という場合もあるが、日本の陸水学は水質汚濁や水中の生物生産に関する研究が中心であり、陸水生態学の色彩が濃い。水文学の国際学術団体には国際水文科学協会International Association of Hydrological Sciences(略してIAHS)があり、日本では日本学術会議の陸水研究連絡委員会がその対応体になっている。[榧根 勇]
『山本荘毅ほか著『水文学講座』全15巻・別巻1(1972~1992・共立出版) ▽榧根勇著『自然地理学講座3 水文学』(1980・大明堂) ▽市川正巳編『総観地理学講座8 水文学』(1990・朝倉書店) ▽塚本良則編『森林水文学』(1992・文永堂) ▽山口伊佐夫著『応用山地水文学』(1996・地球社) ▽水村和正著『水圏水文学』(1998・山海堂) ▽丸山利輔・三野徹編『地域環境水文学』(1999・朝倉書店) ▽登坂博行著『地圏の水環境科学』(2006・東京大学出版会) ▽登坂博行著『地圏水循環の数理』(2006・東京大学出版会) ▽W・ブルツァート著、杉田倫明訳『水文学』(2008・共立出版) ▽杉田倫明・田中正編著『水文科学』(2009・共立出版)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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