平尾台(読み)ヒラオダイ

デジタル大辞泉 「平尾台」の意味・読み・例文・類語

ひらお‐だい〔ひらを‐〕【平尾台】

福岡県北東部、北九州市南東端にある石灰岩台地。南北約7キロメートル、東西約2キロメートル、面積約14平方キロメートル、標高500メートル前後。最高点竜ヶ鼻りゅうがはなの681メートル。北九州国定公園に属する。

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日本歴史地名大系 「平尾台」の解説

平尾台
ひらおだい

小倉南区の南部にある台地南端行橋市京都みやこ勝山かつやま町との境界付近まで広がり、おもに石灰岩台地からなる。台地状の地形は北東から南西方向に長さ約一一キロ、幅約二・五キロに及ぶが、石灰岩台地の北東端は花崗岩から構成されるぬき山の山麓に接しており、本来の平尾台はここから南西端のりゆうヶ鼻にかけて広がる石灰岩台地部分で、その長さは約六キロ、ほぼ小倉南区新道寺しんどうじの範囲にあたる。

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改訂新版 世界大百科事典 「平尾台」の意味・わかりやすい解説

平尾台 (ひらおだい)

福岡県北九州市小倉南区の南東端にある石灰岩台地。北東~南西の幅は約6km,北西~南東は約2.5km。標高500m前後(最高所は南端の竜ヶ鼻681m,最低所は中央部で約360m)のひし形の高原で,東は行橋平野,西は紫川の構造谷にそれぞれ比高300~500m,傾斜40度前後の急崖を向けている。南西半はテラ・ロッサに覆われて千草(ちぐさ)台と呼ばれるが,北東半は裸出カルストで羊群原と呼ばれ,多数のドリーネやみごとなカレンフェルト(石塔原),鍾乳洞千仏鍾乳洞,青竜(しようりゆう)窟)などの典型的なカルスト地形発達する。このうち約250haが1952年天然記念物に指定された。台面からは多く土器や石鏃(せきぞく)など縄文~古墳時代の遺物を出土している。藩政時代からお花畑(薬草園)や調練場として利用され,企救(きく)・京都(みやこ)・田川3郡の採草地となっていた。

 第2次大戦まで陸軍演習場として利用され,中央のウバーレに農家17戸からなる平尾の集落だけがあったが,戦後入植者が入り,高冷地野菜の栽培が盛んになった。台上から北九州工業地帯,響(ひびき)灘,福智山,香春(かわら)岳,英彦(ひこ)山,周防灘,国東(くにさき)半島など四方を眺望できるレクリエーション地で,北九州国定公園に含まれる。西側斜面では大規模な石灰石の採掘が行われ,ふもとの市丸と小森にはセメント工場がある。平尾台石灰岩は熱変成により再結晶しているため化石は発見されないが,台上の鍾乳洞内からはナウマンゾウ,トウヨウゾウなどの化石が発見されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「平尾台」の意味・わかりやすい解説

平尾台
ひらおだい

北九州市小倉南区(こくらみなみく)の南東端を中心とする石灰岩台地。東西約2キロメートル、南北約7キロメートル、標高約300~680メートル。秋吉台(あきよしだい)と並ぶわが国の代表的な石灰岩台地で、ドリーネ、カレンフェルト、鍾乳洞(しょうにゅうどう)など典型的なカルスト地形がみられる。とくに羊群原(ようぐんばる)といわれる一帯は草原上に多数のカレンフェルトがヒツジの群れのように散在し、みごとな景観を呈する。北九州国定公園に含まれる。第二次世界大戦前は陸軍演習場があった。千仏鍾乳洞(せんぶつしょうにゅうどう)、青竜窟(せいりゅうくつ)、平尾台はいずれも国の天然記念物に指定されている。平尾台自然観察センター、「平尾台自然の郷(さと)」などを中心に行楽地としてにぎわう一方、ウシの放牧などの農業が行われ、西側斜面では石灰岩の採掘も盛んである。JR小倉駅前からバスで約50分、また九州自動車道小倉南インターチェンジから車で10分。

[石黒正紀]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平尾台」の意味・わかりやすい解説

平尾台
ひらおだい

福岡県北東部,北九州市小倉南区の南東部を中心とする石灰岩の台地。 1952年天然記念物に指定。標高約 500m,南北 7km,東西 2km。筑紫山地の東端を占め,南半はテラロッサにおおわれ千草台と呼ばれ,北半は典型的なカルスト地形で羊群台と呼ばれ,カレンフェルトドリーネが発達している。江戸時代は薬草栽培場,調練場として利用され,その後は旧陸軍演習地であった。第2次世界大戦後入植が進み,ダイコン,トマトなどの野菜栽培が発達。石灰石採掘も行われ,セメント工場が立地。天然記念物の千仏鍾乳洞をはじめ,青竜窟,牡鹿,光水鍾乳洞があり,縄文土器などを出土する。北九州国定公園に属する。

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百科事典マイペディア 「平尾台」の意味・わかりやすい解説

平尾台【ひらおだい】

福岡県北九州市小倉南区の南端にあるカルスト台地(天然記念物)。山口県秋吉台と並称され,東西2km,南北12kmにわたって広がる平原に多くのカレンフェルトやドリーネ(カルスト地形)が見られ,青竜窟・千仏の両鍾乳洞がある。
→関連項目北九州国定公園小倉南[区]筑紫山地

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事典・日本の観光資源 「平尾台」の解説

平尾台

(福岡県北九州市小倉南区・田川郡香春町・京都郡苅田町・みやこ町)
福岡県文化百選 名勝・景観編」指定の観光名所。

平尾台

(福岡県北九州市小倉南区・行橋市・田川郡香春町・京都郡苅田町・みやこ町)
日本三大カルスト」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の平尾台の言及

【カルスト地形】より

…秋吉台カルストでは,その台地面に厚さ約5mのテラ・ロッサが残積し,とくに長者ヶ森一帯は被覆カルストの特徴をよく表している。秋吉台と同じように,古生代の石灰岩がカルスト高原をつくっている北九州市の平尾台でも,その南西部の千草台と呼ばれる台地が典型的な被覆カルストの性質をもっている。一方テラ・ロッサが流亡しやすい起伏の大きい傾斜地や,純度の高い石灰岩で残留土の少ない場合,または少雨気候下のカルスト地域などでは,石灰岩の露岩が広く露出し,裸出カルストと呼ばれる景観が展開する。…

【筑紫山地】より

…各山塊の周囲にはしばしば第三紀層の夾炭層が堆積しており,かつては筑豊,粕屋,唐津,佐世保の諸炭田を形成していた。また貫山地には山口県の秋吉台に続く石灰岩が分布し,典型的なカルスト台地である平尾台が位置しており,その周辺では香春(かわら)岳などに多数のセメント工場が立地している。【赤木 祥彦】。…

※「平尾台」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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