出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
福岡県北九州市小倉南区の南東端にある石灰岩台地。北東~南西の幅は約6km,北西~南東は約2.5km。標高500m前後(最高所は南端の竜ヶ鼻681m,最低所は中央部で約360m)のひし形の高原で,東は行橋平野,西は紫川の構造谷にそれぞれ比高300~500m,傾斜40度前後の急崖を向けている。南西半はテラ・ロッサに覆われて千草(ちぐさ)台と呼ばれるが,北東半は裸出カルストで羊群原と呼ばれ,多数のドリーネやみごとなカレンフェルト(石塔原),鍾乳洞(千仏鍾乳洞,青竜(しようりゆう)窟)などの典型的なカルスト地形が発達する。このうち約250haが1952年天然記念物に指定された。台面からは多くの土器や石鏃(せきぞく)など縄文~古墳時代の遺物を出土している。藩政時代からお花畑(薬草園)や調練場として利用され,企救(きく)・京都(みやこ)・田川3郡の採草地となっていた。
第2次大戦まで陸軍演習場として利用され,中央のウバーレに農家17戸からなる平尾の集落だけがあったが,戦後入植者が入り,高冷地野菜の栽培が盛んになった。台上から北九州工業地帯,響(ひびき)灘,福智山,香春(かわら)岳,英彦(ひこ)山,周防灘,国東(くにさき)半島など四方を眺望できるレクリエーション地で,北九州国定公園に含まれる。西側斜面では大規模な石灰石の採掘が行われ,ふもとの市丸と小森にはセメント工場がある。平尾台石灰岩は熱変成により再結晶しているため化石は発見されないが,台上の鍾乳洞内からはナウマンゾウ,トウヨウゾウなどの化石が発見されている。
執筆者:土井 仙吉
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北九州市小倉南区(こくらみなみく)の南東端を中心とする石灰岩台地。東西約2キロメートル、南北約7キロメートル、標高約300~680メートル。秋吉台(あきよしだい)と並ぶわが国の代表的な石灰岩台地で、ドリーネ、カレンフェルト、鍾乳洞(しょうにゅうどう)など典型的なカルスト地形がみられる。とくに羊群原(ようぐんばる)といわれる一帯は草原上に多数のカレンフェルトがヒツジの群れのように散在し、みごとな景観を呈する。北九州国定公園に含まれる。第二次世界大戦前は陸軍演習場があった。千仏鍾乳洞(せんぶつしょうにゅうどう)、青竜窟(せいりゅうくつ)、平尾台はいずれも国の天然記念物に指定されている。平尾台自然観察センター、「平尾台自然の郷(さと)」などを中心に行楽地としてにぎわう一方、ウシの放牧などの農業が行われ、西側斜面では石灰岩の採掘も盛んである。JR小倉駅前からバスで約50分、また九州自動車道小倉南インターチェンジから車で10分。
[石黒正紀]
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…秋吉台カルストでは,その台地面に厚さ約5mのテラ・ロッサが残積し,とくに長者ヶ森一帯は被覆カルストの特徴をよく表している。秋吉台と同じように,古生代の石灰岩がカルスト高原をつくっている北九州市の平尾台でも,その南西部の千草台と呼ばれる台地が典型的な被覆カルストの性質をもっている。一方テラ・ロッサが流亡しやすい起伏の大きい傾斜地や,純度の高い石灰岩で残留土の少ない場合,または少雨気候下のカルスト地域などでは,石灰岩の露岩が広く露出し,裸出カルストと呼ばれる景観が展開する。…
…各山塊の周囲にはしばしば第三紀層の夾炭層が堆積しており,かつては筑豊,粕屋,唐津,佐世保の諸炭田を形成していた。また貫山地には山口県の秋吉台に続く石灰岩が分布し,典型的なカルスト台地である平尾台が位置しており,その周辺では香春(かわら)岳などに多数のセメント工場が立地している。【赤木 祥彦】。…
※「平尾台」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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