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幻想文学 げんそうぶんがく littérature fantastique

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

幻想文学
げんそうぶんがく
littérature fantastique

フランスにおいては,イギリスゴシック小説およびドイツの E.ホフマンの影響のもとで,ほぼ 19世紀初頭ロマン派の台頭とともに生れた文学ジャンルで,以後文学流派の変遷にもかかわらず多くの作家が注目すべき作品を残している。

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知恵蔵2015の解説

幻想文学

ファンタジー(fantasy)とは、想像世界で起きる途方もない出来事を描いた物語。その世界では超自然的な法則が大手を振ってまかり通るので、何が起きても全く不思議ではない。典型的ファンタジーとしては、ジェームズバリーの児童劇『ピーターパン』(1904年)、トールキン『指輪物語』(54〜55年)などがあげられる。一方、フランスの文学理論家ツヴェタン・トドロフは『幻想文学論序説』(1973年)において、(1)登場人物が(ひいては読者が)感じる戸惑い、(2)出来事が超自然のものとも、合理的解釈が可能なものとも定めがたい決定不能性、にこそ幻想的なるもの(the fantastic)の本質があるとした。クライマックスで館がいかなる理由で崩れたのかを決めがたい、エドガー・アラン・ポー『アッシャー家の崩壊』(1839年)、幽霊が本当にいたのかどうかが最後まで確定しがたいヘンリー・ジェームズ『ねじの回転』(1898年)などは、トドロフのいう幻想文学に最も接近した作品である。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

げんそう‐ぶんがく〔ゲンサウ‐〕【幻想文学】

超自然的な事象を題材とする文学の総称。

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百科事典マイペディアの解説

幻想文学【げんそうぶんがく】

超自然的な怪異や別世界など,現実にありえないとされる事象を扱う文学。神話や伝承においてこうした事象はきわめて頻繁に,しかもほとんど現実の世界と等価に扱われている。

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世界大百科事典 第2版の解説

げんそうぶんがく【幻想文学】

超自然的怪異や驚異,夢,架空世界でのできごとや,現実にありえない設定を中心にすえた文学作品の総称。ただし幻想といい現実といい,それぞれの時代や環境,歴史や言語との関係でその定義はつねに相対的であるから,幻想文学の定義と内実もまた,さまざまな条件の下で流動的・相対的である。ありもしないものや,ありえないものは,すなわち人間の想像力の産物であるが,本来〈文学〉そのものがすでに人間の想像力の産物であり,幻想であると考えられるとすれば,〈幻想文学〉はつねに〈文学〉にとっても根源的なジャンルであるともいえる。

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大辞林 第三版の解説

げんそうぶんがく【幻想文学】

現実にはおこらない、架空の世界の出来事を題材にした文学作品の総称。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

幻想文学
げんそうぶんがく
fantastic literature

文学は一般に現実のなかにあって空想し想像し幻想する人間の心の姿を深く細かく描き出す。この現実を揺るぎないものとみて、現実を中心に描き出す場合、その傾向はリアリズム文学の側に属する。それに反して、空想・想像・幻想の側に、より多くの人間の心の真実を認め、これらを中心に描き出す場合、その作品は幻想文学の側に属する。
 しかし、文学がもともとフィクション(仮構の作り物)であって、現実の写真的写し取りや、単なる年代記ではない以上、いかなる文学も、ひとたび人間の心の内部や思念の世界に入り込むとき、あらゆる文学は幻想性をなにほどか分有する。逆に純粋の幻想文学と考えられるものでも、それが了解されるためには、現実との連絡をまったく断つことができず、言語が取り込んでいる現実の影をなにほどか分有せざるをえない。ここから、従来、幻想文学という名称は、とくに文学ジャンルとしてたてられてこなかったが、近年、18、19世紀西欧文学の主流であったと考えられるリアリズム文学がいちおうの枯渇点に達し、それ以前の、幻想性を豊かにもった文学の再評価の機運も相まって、1920年代モダニズム文学以来、技法上の幻想性と人間の世界認識の象徴的フィクション性の認識が深まるにつれて、従来のリアリズム文学に対する幻想文学というジャンルの定立が試みられるようになり、現在では優に独立ジャンルとしての価値と区別を与えられるようになった。一例をあげれば、正面切って幻想文学の名のもとにその理論化を試みたのはT・トドロフであり、1971年のことであった。
 ギリシア・ローマの古代においては、超自然の天上に住む神々も冥界(めいかい)という超自然に住む神々も、ともに著しく人間的であり、人間的欲望に駆られて自然や人間世界に介入するところから、あらゆる神話も物語も成り立った。この点で、古代神話はリアリズムとファンタジーまたはフィクションの間のごく自然な混合を許していたといえる。ホメロス『オデュッセイア』のなかの有名な冥界降(くだ)りなど、よい例である。西欧中世においても、古代の神々に置き換えられたキリスト教の信仰体系が、超自然と自然との媒介を、神の子の復活や再臨、幾多の聖人譚(たん)によって混合する物語群を生んだ。聖書をはじめとし、諸国の土俗伝承も反映した多数の聖人譚や奇蹟(きせき)物語に現れた驚異への自然な感情である。ダンテ『神曲』はその集大成でもあった。
 ルネサンス期は古代の復活という点で、超自然への感性の新しい再建期であったが、同時に、ルネサンスに芽生えた芸術の自然学化とテクノロジー化の傾向は、16世紀プロテスタント革命、17世紀自然科学革命により、人間の心とは独立に存在する物質として対象化の可能な、法則性の理解が可能な外界という考えを生んだ。さらに18世紀市民社会の誕生は実利主義と現実主義とを生み、独得の現実信仰(リアリズム)を拡大し、文学は、あたかも経済小説と化するデフォーの『ロビンソン・クルーソー』(1719)を代表とするリアリズム長編小説(ロマン)を発明し、ここに以後2世紀を圧倒するリアリズム長編の時代を出現させた。その間、18世紀30年代に始まり、ある意味で20世紀の現時点でも解決のつかない、西欧の大地殻変動であったロマン主義が台頭し、現実に従属する従前の人間のあり方に対して、仮構と現実、作品と想像力、理性人に対する幻想人としての人間の本質に対して鋭い問題提起を行い、悟性に対する想像力の優位を高く掲げ、古代・中世の驚異・夢・架空・希望のほうに人間性の根源を見定める文学を提唱した。超自然の新しい復活であり、幻想文学の近代的自覚であったといえよう。イギリスのコールリッジ、シェリー、キーツの詩、ドイツのティーク、C・ブレンターノ、ノバーリス、シャミッソーたちのメルヘン、ホフマンの小説群は、フランスのユゴー、「小ロマン派」とともに現代幻想小説への敷石となった。イギリス・ロマン派の直前に「ゴシック・ロマンス」作家群が現れ、ロマン派幻想小説に先鞭(せんべん)をつけた。これらの遺産を経由して、アメリカのポー、フランス象徴派の優れた運動が展開された。さらに現実社会における自然科学圧制と近代物質中心利潤合理主義に対する人間性の拠点を、改めて幻想性に求める動きが、トルストイからトーマス・マンまでの19世紀型大リアリズム長編小説の枯渇への反定立として出てくるのが、シュルレアリスム、ダダイズム、表現主義その他ポップスである。事実、現時点においては、幻想性の自覚の高いラテンアメリカ幻想小説家のボルヘスからガルシア・マルケス、カフカ、それに学んだカネッティやクンデラに今日的な文学性が認められている。[由良君美]
『T・トドロフ著、三好郁朗・渡辺明正訳『幻想文学――構造と機能』(1975・朝日出版社) ▽小池滋・志村正雄・富山太佳夫責任編集『ゴシック叢書』(1期11巻・1978~80、2期14巻・1982~85・国書刊行会) ▽由良君美編著『世界のオカルト文学』(1982・自由国民社)』

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