建築協定(読み)けんちくきょうてい

精選版 日本国語大辞典 「建築協定」の意味・読み・例文・類語

けんちく‐きょうてい ‥ケフテイ【建築協定】

〘名〙 良好な生活環境確保維持するため、一定区画の住民相互によって締結される建築規制に関する協定

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デジタル大辞泉 「建築協定」の意味・読み・例文・類語

けんちく‐きょうてい〔‐ケフテイ〕【建築協定】

建築基準法などの一般的制限以外に、市町村条例で決める一定区域内で、関係権利者の全員合意もとに、建築の敷地構造意匠などについて取り決める協定。

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改訂新版 世界大百科事典 「建築協定」の意味・わかりやすい解説

建築協定 (けんちくきょうてい)

住宅地の良好な環境や,商店街利便をより高度に維持・増進する等の目的で,一定の区域について,法の定める最低基準を超えた基準を定める協定で,地域住民の共同の意思にもとづく街づくりの効果的手段である。建築基準法第4章にその規定がある。建築物の敷地,位置,構造,用途形態,意匠または建築設備等に関する基準を,土地の所有者および建築物の所有を目的とする地上権者・賃借権者の全員の合意によって定めた協定が特定行政庁により認可・公告されると,転入者にも効力が及び協定の安定性が担保されている。本制度は建築基準法制定当初(1950)からあったが,とくに昭和40年代後半から水準の高い住宅地形成のために分譲宅地などを中心に締結されるものが増加している。また1976年の法改正により,ディベロッパーが土地所有者の段階で開発計画に基づいて締結できる一人協定制度が創設された。

 協定は公法上の権利制限がないため,建築確認・是正命令等にリンクしていないが,そもそも住みよい街づくりのために住民相互の啓発・監視を高めることにより,単なる公法上の規制より強いものとなる可能性がある。ぜひ公法上の規制としたい事項があれば,当該事項を地区計画(1980創設)に移行させることができる。協定は地区計画では定められない事項(敷地の分割禁止,地盤面の変更禁止等)を定めることができ,建築協定と地区計画の連動的活用により,よりよい自主的街づくりが可能な道が開けている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「建築協定」の意味・わかりやすい解説

建築協定
けんちくきょうてい

建築物の敷地,位置,構造,用途,意匠あるいは緑化の方法などについての協定を住民自身が行ない,建築基準法で定める内容より高い水準で基準を取り決めることのできる制度。具体的には,敷地規模,壁面線の後退,建物の用途制限,高さ・階数などを制限する。これは住宅地でより良好な環境の維持・保全を図ったり,商業地での魅力的な店舗づくりや歩行者空間の確保など,調和のとれたより望ましい町づくりを進めるために定められ,一定の地区について,地権者など全員の合意により締結される。

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百科事典マイペディア 「建築協定」の意味・わかりやすい解説

建築協定【けんちくきょうてい】

住宅地の環境や商店街の利便を高度に維持増進するため,市町村が条例で定める一定区域内の土地・建築物の所有権者および使用権者の間で,建築物の敷地・位置・構造・用途・形態・意匠・建築設備に関する基準を協定したもの。建築基準法の定める手続によって認可公告されたものは法的な効力をもつ。

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不動産用語辞典 「建築協定」の解説

建築協定

土地の所有者や借地権者が、一定の区域を定めて建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠または建築設備に関する基準について締結する協定を「建築協定」といいます。住宅地としての環境はもちろんのこと、商店街としての利便を高度に維持増進することを目的とし、協定区域の所有者全員の同意と特定行政庁の認可が必要です。

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世界大百科事典(旧版)内の建築協定の言及

【建築基準法】より

…同時に建築基準法の関連法として,建築関係技術者の資格を定める建築士法(昭和25年法律第202号)が制定され,先に公布された建設業法(昭和24年法律第100号)とともに建築に関する基本的な法体制が確立された。 建築基準法は建築自体を規制する法令であり,大別すると,(1)適用範囲,手続関係に関する規定,(2)建築物個々に関する単体規定,(3)建築物の集団としての整合性を求める集団規定(建築密度など),(4)そのほか建築協定,建築審査会などに関する規定などになる。手続に関しては,建築行政に関する専門的知識と経験を有する建築主事を置き,建築着工前に建築計画を建築主事に申請して確認を受ける。…

※「建築協定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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