(読み)シ

デジタル大辞泉 「弛」の意味・読み・例文・類語

し【弛】[漢字項目]

人名用漢字] [音]シ(呉)(漢) チ(慣) [訓]ゆるむ ゆるめる たるむ
ゆるめる。たるむ。「弛緩弛張一張一弛

ち【弛】[漢字項目]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「弛」の意味・読み・例文・類語

たるみ【弛】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「たるむ(弛)」の連用形名詞化 )
  2. たるむこと。また、その度合。ゆるみ。
    1. [初出の実例]「Tarumiga(タルミガ) ユク」(出典日葡辞書(1603‐04))
    2. 々蕩々として勢ひ百川の一時に決した如くで、言損じがなければ委(タル)みもなく」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  3. 引き潮上げ潮の境で、潮の動きがゆるくなっているところ。
    1. [初出の実例]「『せんしう此汐は上るのかの』『あい今たるミでござりやす』」(出典:洒落本・雲井双紙(1781))

たゆみ【弛】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「たゆむ(弛)」の連用形の名詞化 ) たゆむこと。緊張した状態勢いなどがゆるむこと。油断
    1. [初出の実例]「関守の固からぬたゆみにや、いとよくかたらひおきて、出で給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. 「間断(タユミ)もなく算盤を弾いてゐた年配五十前後の老人が」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)

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普及版 字通 「弛」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 6画

(異体字)
13画

[字音] シ・イ・チ
[字訓] ゆるめる・はずす・すてる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は也(や)。也は水器の(い)の初形で、その流し口の形。ゆるくまがる意がある。〔説文〕十二下に「弓、弦を解くなり」(段注本)とあり、弓弦を外す意。重文(ち)声。弓弦をゆるめることから、すべてものを弛緩することをいう。〔礼記、雑記下〕に「一張一弛は武のなり」とみえる。

[訓義]
1. ゆるむ、ゆるめる。
2. はずす、のびる。
3. すてる、おこたる、のびる。
4. 弛(い)と通じ、改める。
5. 弛(ち)と通じ、おとす。

[古辞書の訓]
名義抄〕弛 ハヅル・ハヅス・ユルブ 〔字鏡集〕弛 ハヅス・ユミヅル・ユミハズ・サル・ユミハヅス・ハナツ・ユルス

[語系]
弛sjieと施sjiaiは声義近く、施は施靡(しび)。旗がゆるくはためく意で、弛と同系の語である。

[熟語]
弛易弛維・弛解弛壊弛懈・弛緩・弛期・弛弛馭・弛禁弛刑・弛縦・弛政・弛絶・弛然弛惰弛怠・弛替弛担・弛徴・弛張・弛墜・弛・弛廃・弛紊・弛・弛兵・弛放・弛慢・弛落・弛力
[下接語]
解弛・懈弛・禁弛・傾弛・荒弛・縦弛・勢弛・弛・張弛・偸弛・廃弛・放弛・落弛

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