意味深長(読み)イミシンチョウ

精選版 日本国語大辞典 「意味深長」の意味・読み・例文・類語

いみ‐しんちょう‥シンチャウ【意味深長】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ある表現の示している内容や趣が深く、含蓄があること。また、そのさま。表面の意味のうらに別な意味が隠されていること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「話の稿(やたらがき)なれば、わかうの響あるをもて、鹿の子餠と題す。意味深(ヰミシンチャウ)旨味は、ひとつひとつ読で御らんなされ」(出典咄本・鹿の子餠(1772)序)
    2. [その他の文献]〔朱熹‐論語序説〕

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四字熟語を知る辞典 「意味深長」の解説

意味深長

ある表現の示している内容や趣が深く、含蓄があること(様子)。表面の意味のうらに別な意味が隠されていること(様子)。

[活用] ―な・―だ。

[使用例] 其方の附けた第三の句だけは、何だか訳がありそうだ。意味深長に思われるよ[正宗白鳥光秀紹巴|1926]

[使用例] 武郎を読み鷗外を読んでも、ひっきょう『或る女』『雁』にしか人間真実の保証を発掘し得なかった事実は意味深長である[平野謙*女房的文学論|1947]

[使用例] 「おそらくそれが終局の目的になるでしょうね」と代理人は謎めいた微笑をもらしながらいった。非常に意味深長な意図が隠され、しかもまたそれが弱い光のようにもれでているようにおもわれた[倉橋由美子婚約|1961]

[解説] 「意味深な発言」「意味深な笑い」など、「意味深」ということばが日常的に使われます。もちろん、「意味深長」の略ですが、元の形を知らずに使っている人も多そうです。
 「深長」は日常語ではありません。表面からはわからない、深い、難しい意味がある様子を表します。これが「意味深」と略されると、「思わせぶり」程度の軽い意味でも使われます。
 「意味深長」は、朱子学で有名なしゅ文章にもあります。その歴史には負けますが、「意味深」も昭和初期から例があり、それなりに長く使われています。
 「意味深重」と書かれることもあります。辞書にはない表記ですが、谷崎潤一郎の小説などにも出てきます。「深重」は「しんじゅう・しんちょう」と読み、意味は「多く重なること。深く大きいこと」ですから、理屈は通じます。
 「意味慎重」と書く例も目にします。こちらは意味が通りません。誤字と言っていいでしょう。

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