愛南(町)(読み)あいなん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

愛南(町)
あいなん

愛媛県の南端に位置する南宇和(みなみうわ)郡の町。2004年(平成16)南宇和郡内海村(うちうみむら)、御荘町(みしょうちょう)、城辺町(じょうへんちょう)、一本松町(いっぽんまつちょう)、西海町(にしうみちょう)が合併して成立。東は高知県との境を篠川(ささがわ)が流れ、北部には篠山(ささやま)(1065メートル)、瀬戸黒森(976メートル)、三森(867メートル)、観音岳(782メートル)などが聳える。僧都川(そうずがわ)が中央部を貫流し、御荘湾に注ぐ。北部には由良(ゆら)半島、南部では船越(ふなこし)半島が豊後水道に突き出し、両半島に抱かれた内海浦や南に続く外海浦、宿毛(すくも)湾の海岸部は複雑なリアス式海岸を形成する。国道56号が通る。
 御荘湾沿岸などで縄文時代の遺跡が確認され、平城(ひらじょう)貝塚からは人骨も出土している。古代には内海が京都賀茂社の御厨(みくりや)とされ神饌(しんせん)を貢進していた。中世は僧都川の河口北側にある観自在寺(かんじざいじ)を中心に開発が進んだ。同寺が開発した寺領が延暦寺領観自在寺荘(御荘)となる。観自在寺は四国八十八か所第40番札所で、同寺に参詣したのち篠山の篠山神社を参拝して次の巡礼地に向かうことになっていた。江戸時代は宇和島藩領として推移した。旧城辺町地区から旧西海町地区にかけての外海浦や内海浦は天然の良港に恵まれ、鰹釣漁、鰯網漁などの漁業が盛んであった。中世から続く篠山を廻る伊予・土佐の国境争いは江戸時代には宇和島藩と土佐藩の争いとなり、明治に入ってようやく県境が確定した。
 現在の産業は漁業が中心で御荘湾に面する中浦は巻網漁の基地。四国一の水揚げ量を誇る深浦のカツオの一本釣り、イワシ網漁、生産量全国一のタイの養殖のほか、ブリ、カキなどの養殖も盛んである。また真円真珠発祥の地として知られ、内海地域の海岸を中心に真珠母貝と真珠貝の養殖が行われている。甘夏柑、ポンカンなどの柑橘類も栽培されている。宇和海域、篠山地区は足摺(あしずり)宇和海国立公園、サンゴ礁や熱帯魚などが見られる鹿島周辺は宇和海海域公園に含まれるなど風光に恵まれる。また、西海半島の外泊(そとどまり)地区は、防風のための高い石垣を巡らした民家が傾斜地に並び、独特の景観を呈している。面積238.99平方キロメートル、人口2万1902(2015)。[編集部]

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