(読み)フン

デジタル大辞泉 「憤」の意味・読み・例文・類語

ふん【憤】[漢字項目]

常用漢字] [音]フン(漢) [訓]いきどおる
いきどおる。いきどおり。「憤慨憤激憤然憤怒ふんぬ・ふんど憤懣ふんまん鬱憤うっぷん義憤私憤痛憤悲憤
ふるい立つ。「感憤発憤

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「憤」の意味・読み・例文・類語

いきどおりいきどほり【憤】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「いきどおる(憤)」の連用形名詞化 ) 強い不平や恨み、怒りなどをいだくこと。心が晴れないで悩み苦しむこと。また、そういう気持
    1. [初出の実例]「遂に窃(ひそか)に通(たは)けぬ。乃ち悒懐(イキドホリおもひ)少しく息(や)みぬ」(出典日本書紀(720)允恭二三年三月(図書寮本訓))
    2. 「法皇の御いきどをり深かりしかば」(出典:平家物語(13C前)二)

いきどおろいきどほろし【憤】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙いきどおろしい(憤)

いきどおらいきどほらし【憤】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 腹だたしい。嘆きたいほどなさけない。いきどおろし

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「憤」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(旧字)
16画

[字音] フン
[字訓] いきどおる・くるしむ・もだえる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(ふん)。に、中から力が外にあらわれる意がある。〔説文〕十下に「懣(もだ)ゆるなり」という。〔論語、述而〕「せずんばせず」とは、内に求める心が充実するまでは、啓発を与えないことをいう。憤怒憤懣など、心の激発するをいう。

[訓義]
1. いきどおる、いかる、たかぶる。
2. くるしむ、もだえる。
3. さかん、みちる、みだれる。

[古辞書の訓]
名義抄 イカル・ウゴク・イキドホル・クンネル・カザル・ワヅラハシ・ムツカル 〔字鏡集〕 ミツ・ワヅラハシ・イキドホル・クンネル・ウゴク・カザル・イカル・タマフ・オモフ

[語系]
biun、忿phiun、悶munは声義近く、みな怒りもだえる意がある。また煩biuan、懣muan、phiuiも声の通ずるところがあり、もだえなげく意がある。

[熟語]
憤恚・憤鬱憤慍憤盈憤焉憤怨・憤潰・憤慨憤愾・憤気・憤激憤悁・憤恨憤死・憤憤嫉・憤心憤迅・憤世・憤盛・憤切・憤然・憤争・憤・憤怒憤濤・憤毒・憤発・憤憤怫憤憤・憤懣憤悶憤悒・憤踊・憤・憤
[下接語]
哀憤・恚憤・鬱憤・怨憤憤・憤・懐憤・慨憤・感憤・銜憤・気憤・愧憤・義憤・旧憤・激憤・狷憤・遣憤・孤憤・公憤・抗憤・恨憤・嗟憤・慙憤・私憤・愁憤・宿憤・舒憤・心憤・震憤・積憤・沮憤・躁憤・滞憤・嘆憤・恥憤・忠憤・痛憤・内憤・発憤・憤・悲憤・忿憤・勇憤・幽憤・悒憤・憂憤・余憤

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android