懸紙(読み)カケガミ

デジタル大辞泉 「懸紙」の意味・読み・例文・類語

かけ‐がみ【懸(け)紙】

贈答品の上包みに用いる紙。多く熨斗のし水引みずひきなどの形が印刷してある。また、仕出し弁当の折などを包む紙。
巻き紙などに書いた書状文書もんじょを包む紙の総称。時には礼紙らいしをもいう。
[補説]1は「掛け紙」とも書く。

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精選版 日本国語大辞典 「懸紙」の意味・読み・例文・類語

かけ‐がみ【懸紙】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 文書(もんじょ)の上にかけて包む紙。本紙を包む包み紙、封をするための封紙などの総称。時には礼紙(らいし)をもいう。
    1. [初出の実例]「実房僧正表奏之、裹紙一枚、懸紙二枚」(出典:権記‐長保二年(1000)八月二〇日)
  3. 進物の上包に用いる紙。多く熨斗(のし)水引(みずひき)などの形を印刷した紙。
  4. 本文増補、削除、訂正などをするために文書に貼付された紙片
    1. [初出の実例]「此朱書懸紙を以張消」(出典:徳川禁令考‐後集・第三・巻二三(江戸))
  5. 雑誌や本に帯のように巻く広告用の細長い紙。また、紙を巻いて開かないように上にかける細長い紙もいう。
    1. [初出の実例]「三枚続の上物でも、クルクルと程よく巻いてそこの店の名が刷ってある掛紙を掛け」(出典:こしかたの記(1961)〈鏑木清方〉鈴木学校)

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改訂新版 世界大百科事典 「懸紙」の意味・わかりやすい解説

懸紙 (かけがみ)

古文書学上の用語。書札様文書はふつう3紙から成る。本文を書くのが本紙で,それと友紙(ともがみ)をもう1紙付して奥から折り畳む。これを礼紙(らいし)という。その上をさらに別の友紙で包み,うわ書きを加え必要に応じて封をして相手方に届ける。これを封紙というが,中世の書札礼では上巻(表巻)(うわまき)といい立紙(たてがみ)とも称している。本紙,礼紙は料紙を横に使うが,封紙は縦に使うから立紙という。また文書を保護するため,それを受け取った人がのちに別の紙で包むことがある。これを包紙という。懸紙というのは封をするしないにかかわらず,本紙の上に懸ける紙のことである。したがって一般には封紙(上巻,立紙)のことを懸紙というが,包紙をさす場合があり,時によっては礼紙を懸紙ということもある。それゆえ,懸紙という概念ははなはだ漠然としており,正確には封紙,包紙,礼紙という言葉を使ったほうがよい。
執筆者: また文書に貼付(てんぷ)された付箋一種で本文を増補・削除または訂正する目的をもった紙片をもいう。付箋は通常,紙片の一端にのりをつけて付すのに対し,紙片の上下にのりづけして固定する形式のものをとくに懸紙と称する。なお紙片全面にのりづけしたものは押紙おうし)と呼ばれる。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「懸紙」の意味・わかりやすい解説

懸紙
かけがみ

文書の本紙の上にかける紙の総称。これには単に包むための包紙や封をするための封紙などがあり,礼紙 (らいし) もときに懸紙と称することがあった。封紙は奈良時代の啓状のなかにそれと思われるものがあるが,鎌倉時代以降の文書に現れてきている。江戸時代末期には懸紙に代って一般に状袋が用いられた。

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