書札様文書に用いる儀礼用紙の古文書学上の呼称。書札様文書はふつう本紙,礼紙,封紙の3紙から成る。本文を書くのが本紙で,それと友紙(ともがみ)をもう1紙付して奥から折り畳む。これは相手方に対する儀礼の意味があるので礼紙という。その上をさらに別の友紙で包み,うわ書を加え,必要に応じて封をして相手方に届ける。これが封紙である。したがって礼紙は白紙であるのがふつうであるが,本文が長くなった場合には,礼紙にその続きが書かれることがある。これが礼紙書である。中世の書札礼には本紙,礼紙,封紙の三紙礼だけではなく,五紙礼,七紙礼という言葉もみられ,丁重な書札には何枚も白紙を重ねたかに考えられる記載をみるが,詳細は不明である。また礼紙は本紙と友紙を用いるのが普通であるが,本紙と別の紙を使ったと受け取れる記事もあり,これもつまびらかではない。現在の古文書学では,一部の中世の書札礼に従って,追而書(おつてがき)を礼紙書または礼紙端書というとし,追而書が礼紙に書かれたとしている。しかし南北朝期以降の現存の文書による限り追而書が礼紙に書かれた例はなく,本紙,礼紙とは別に1紙を用意して,そこに追而書を書いている。したがってこの場合は封紙を含めて4紙となる。以上は公家の書札様文書についてである。書札様文書といっても武家の公文書,たとえば御判御教書,管領奉書などには礼紙を用いない。
執筆者:上島 有
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…本文を書くのが本紙で,それと友紙(ともがみ)をもう1紙付して奥から折り畳む。これを礼紙(らいし)という。その上をさらに別の友紙で包み,うわ書きを加え必要に応じて封をして相手方に届ける。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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