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成実論 じょうじつろんSatyasiddhi-śāstra

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

成実論
じょうじつろん
Satyasiddhi-śāstra

訶梨跋摩 Harivarman (4世紀頃) の著作。仏教の重要な教理である四諦の意義を述し,また部派仏教の諸説を記し,サーンキヤ,バイシェーシカ,ニヤーヤなどのインド哲学派の説にも言及している。著者の立場は,いわば経量部にあるとみられる。本書は,インドではさして重要視されなかったが,鳩摩羅什によって漢訳されてから,彼の弟子が研究を始め,南北朝時代には最も盛んとなり,日本にも三論とともに伝えられて東大寺などで盛んに研究された。

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世界大百科事典 第2版の解説

じょうじつろん【成実論】

インド仏教の論書。略称《成論(じようろん)》。ハリバルマンHarivarman(訶梨跋摩(かりばつま),250ころ‐350ころ)著。サンスクリット原典はなく,クマーラジーバ(鳩摩羅什)による漢訳(411‐412)のみ現存。16巻または20巻で,5聚202品よりなる。まず〈発聚(ほつしゆう)〉(1~35品)では,仏・法・僧の三宝を論じ,〈苦諦聚〉(36~94品)では現実の苦の存在である五陰(五蘊(ごうん))を論ずる。

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大辞林 第三版の解説

じょうじつろん【成実論】

仏書。一六巻または二〇巻。訶梨跋摩かりばつま著。鳩摩羅什くまらじゆう訳。この世界全体は仮の現象にすぎず、すべては空であることを強調する。中国で、六、七世紀から空の強調にかたより、小乗仏教に属するとされた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

成実論
じょうじつろん

インドの仏教論書。西暦401年に中国に渡った西域(せいいき)僧鳩摩羅什(くまらじゅう)が将来し翻訳した漢訳しか現存しない。作者は訶梨跋摩(かりばつま)(ハリバルマンHarivarman)。成立年代は不明だが、おそらく4世紀後半インドでつくられ、まもなく羅什によって中国にもたらされたが、インドでは成功をみず消滅してしまったのであろう。その内容は仏教教理全体にわたるが、とくに説一切有部(せついっさいうぶ)の基本的立場である「法の実有(じつう)思想」を排して、法が空にして実有でないこと、および有部の唱える「心・心所相応説」(心を心の本体と各心理現象に区別する説)に反対して、心を一つのまとまりとしてとらえることを主張した点に特徴がある。またバイシェーシカ学派(勝論(かつろん)派)など、仏教以外のインド哲学の学説も引用されている。本書はおそらく部派仏教(小乗仏教)中の経量(きょうりょう)部のうちでもかなり進歩した説をなす人物の手になるものであろう。中国では『倶舎論(くしゃろん)』翻訳までは、仏教教理綱要書の代表とみなされ盛んに研究され、成実宗を形成した。成実宗は日本にも伝わり、奈良時代には南都六宗の一つに数えられた。[加藤純章]
『福原亮厳著『仏教諸派の学術批判・成実論の研究』(1969・永田文昌堂)』

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世界大百科事典内の成実論の言及

【クマーラジーバ】より

…その訳業は,35部294巻ともいわれ,流麗達意の訳文は中国人に親しまれた。その中には,般若,法華,維摩などの経典,竜樹の《中論》など三論,《成実論》があり,弟子の僧肇(そうじよう),道生(どうしよう),僧叡(そうえい),僧導らを通じて,三論宗,成実宗が成立する基礎が築かれた。【松本 史朗】。…

※「成実論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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