デジタル大辞泉
「手古舞」の意味・読み・例文・類語
てこ‐まい〔‐まひ〕【手古舞】
《「梃子前」からという》江戸の祭礼で余興に行われた舞。のち舞は絶え、特殊な男装をした女性が、男髷に片肌ぬぎで腹掛け・たっつけ袴・脚絆などをつけ、紺たび・わらじをはき、花笠を背に掛け、鉄棒を引き、牡丹を描いた黒骨の扇を持ってあおぎながら木遣りなどを歌って、山車や神輿の前を練り歩くもの。もとは氏子の娘たち、のちには芸妓などが扮した。
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てこ‐まい‥まひ【手古舞】
- 〘 名詞 〙 ( 「てこ」は、祭の屋台ばやしの音から出た「すててこ」の変化とも、また、「梃子前(てこまえ)」の意ともいう ) 江戸の祭礼で余興として行なわれた舞。また、その時の姿をして、山車(だし)や神輿(みこし)の先駆をする男装の女性。もとは氏子の娘が扮(ふん)したが、のちには主に芸妓がするようになり、鉄棒(かなぼう)を引き、木遣(きやり)などをうたって歩いた。
手古舞〈東京風俗志〉
- [初出の実例]「友子友達(ともこともだち)が手古前(テコメヘ)で輿樗(きやり)をやらかして呉(くれ)よう物(もん)ならおらあうかむぜ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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手古舞 (てこまい)
江戸の祭礼などに出た男装の女性の舞。山車や神輿(みこし)の先駆として行われた。はけ先を散らした男髷(おとこまげ)に片肌ぬぎのはでなじゅばん,腹掛け,たっつけ袴,紺足袋に草履,背に花笠をつけ,右手に鉄棒(かなぼう)を引き,左手に牡丹模様の黒骨扇を持って木遣りをうたって歩く。女性による祭り行列の露払いで,もとは氏子の娘の役であり,粋で華やかに練り風流(ふりゆう)の一端を飾った。のちに芸妓が扮するようになり,現在も祭礼行事でその姿を見ることがある。語源に定説はなく,木や石引きの際の〈梃子前〉,祭囃子の擬音〈すててこ〉など諸説がある。
執筆者:西角井 正大
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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手古舞
てこまい
主として江戸の祭礼のとき、山車(だし)の前に露払いとして木遣(きやり)を歌って練り歩いた者のこと。江戸時代には鳶(とび)の者など男も行ったが、のちには氏子の娘が扮(ふん)し、やがて芸者がつとめるようになった。この呼び名は、木遣のときにてこで木石を運行させる役の挺前(てこまえ)のあて字といわれ、また祭りの屋台囃子(ばやし)の音から出たもので、すててこ踊の転訛(てんか)ともいう。一説には「神に仕える乙女」の意ともいう。男髷(まげ)に右肌ぬぎのはでな襦袢(じゅばん)、腹掛、裁着(たっつけ)、紺足袋(たび)に草鞋(わらじ)、背に花笠(はながさ)を負い、鉄棒(かなぼう)を引き、牡丹(ぼたん)を描いた黒骨の扇を持つ。歌舞伎(かぶき)『縮屋(ちぢみや)新助』の芸者美代吉にこの風俗を知ることができ、歌舞伎舞踊『勢獅子(きおいじし)』など祭礼を描く踊りにも登場する。
[如月青子]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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手古舞
てこまい
江戸時代の祭礼に出た舞。また,そのときの姿をして山車 (だし) ,神興 (みこし) の先駆をする女性。梃子 (てこ) 前の意ともされている。初め氏子の娘たちがつとめ,のち芸者などがつとめるようになった。独特のそろいの男装をした芸者が山車などの前を木遣りを歌って歩く。男髷に手甲,脚絆,裁付袴,足袋,わらじばきで,右肩を脱いで派手な長襦袢を見せ,背に花笠を負い,牡丹の花を描いた扇を持ち,左手に鉄棒を突きながら練り歩く。現在も神田祭などで見られる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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手古舞【てこまい】
江戸の祭礼で,山車(だし)や神輿(みこし)の前を木遣りをうたいながら歩く人。芸妓などが男髷(まげ)に片肌(かたはだ)ぬぎ,たっつけをはき,花笠(はながさ)を背負い,右手に鉄棒,左手に扇を持って歩いた。もと梃子前(てこまえ)の意ともいう。
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