コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

手古舞 てこまい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

手古舞
てこまい

江戸時代の祭礼に出た舞。また,そのときの姿をして山車 (だし) ,神興 (みこし) の先駆をする女性。梃子 (てこ) 前の意ともされている。初め氏子の娘たちがつとめ,のち芸者などがつとめるようになった。独特のそろいの男装をした芸者が山車などの前を木遣りを歌って歩く。男髷に手甲脚絆,裁付袴,足袋,わらじばきで,右肩を脱いで派手な長襦袢を見せ,背に花笠を負い,牡丹の花を描いた扇を持ち,左手に鉄棒を突きながら練り歩く。現在も神田祭などで見られる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

てこ‐まい〔‐まひ〕【手古舞】

《「梃子前(てこまえ)」からという》江戸の祭礼で余興に行われた舞。のち舞は絶え、特殊な男装をした女性が、男髷(おとこまげ)に片肌ぬぎで腹掛け・たっつけ袴(ばかま)・脚絆(きゃはん)などをつけ、紺たび・わらじをはき、花笠を背に掛け、鉄棒(かなぼう)を引き、牡丹(ぼたん)を描いた黒骨の扇を持ってあおぎながら木遣(きや)りなどを歌って、山車(だし)や神輿(みこし)の前を練り歩くもの。もとは氏子の娘たち、のちには芸妓などが扮(ふん)した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

手古舞【てこまい】

江戸の祭礼で,山車(だし)や神輿(みこし)の前を木遣りをうたいながら歩く人。芸妓などが男髷(まげ)に片肌(かたはだ)ぬぎ,たっつけをはき,花笠(はながさ)を背負い,右手に鉄棒,左手に扇を持って歩いた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

てこまい【手古舞】

江戸の祭礼などに出た男装の女性の舞。山車や神輿(みこし)の先駆として行われた。はけ先を散らした男髷(おとこまげ)に片肌ぬぎのはでなじゅばん,腹掛け,たっつけ袴,紺足袋に草履,背に花笠をつけ,右手に鉄棒(かなぼう)を引き,左手に牡丹模様の黒骨扇を持って木遣りをうたって歩く。女性による祭り行列の露払いで,もとは氏子の娘の役であり,粋で華やかに練り風流(ふりゆう)の一端を飾った。のちに芸妓が扮するようになり,現在も祭礼行事でその姿を見ることがある。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

てこまい【手古舞】

江戸時代の祭礼で、男装の女性が山車だしや神輿みこしの先駆をして舞った舞。また、その人。姿は、男髷おとこまげ、右肩ぬぎの派手な襦袢ジバン、伊勢袴、手甲、脚絆きやはん、足袋、わらじ、というもので、背に花笠を掛け、鉄棒を突き、牡丹を描いた黒骨の扇を持ち、煽ぎながら木遣きやりなどを歌いつつ舞い歩いた。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

手古舞
てこまい

主として江戸の祭礼のとき、山車(だし)の前に露払いとして木遣(きやり)を歌って練り歩いた者のこと。江戸時代には鳶(とび)の者など男も行ったが、のちには氏子の娘が扮(ふん)し、やがて芸者がつとめるようになった。この呼び名は、木遣のときにてこで木石を運行させる役の挺前(てこまえ)のあて字といわれ、また祭りの屋台囃子(ばやし)の音から出たもので、すててこ踊の転訛(てんか)ともいう。一説には「神に仕える乙女」の意ともいう。男髷(まげ)に右肌ぬぎのはでな襦袢(じゅばん)、腹掛、裁着(たっつけ)、紺足袋(たび)に草鞋(わらじ)、背に花笠(はながさ)を負い、鉄棒(かなぼう)を引き、牡丹(ぼたん)を描いた黒骨の扇を持つ。歌舞伎(かぶき)『縮屋(ちぢみや)新助』の芸者美代吉にこの風俗を知ることができ、歌舞伎舞踊『勢獅子(きおいじし)』など祭礼を描く踊りにも登場する。[如月青子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

手古舞の関連キーワード神田祭(歌舞伎舞踊)江戸時代天手古舞勢獅子祭礼物錫杖裁着

今日のキーワード

天網恢恢疎にして漏らさず

《「老子」73章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android