振動物体の変位,速度,加速度を指示,記録する計測器を振動計という。一般に振動の波形は複雑であるので,振動変位を記録した後,周波数分析などの解析を行うことが多い。振動計の原理は外部に不動点のある場合,これとの相対変位を記録する。車両,大地の振動などの場合には不動点の得られないことが多い。この場合,図に示すように,振動物体とともに振動するわくに,ばねSでおもりMをつり下げ,さらに制動装置Rを併用することにより,Mが不動点となる。Mと振動わくとの相対変位を拡大し記録する。Mの振動方向により,垂直水平振動が測定できる。変位を拡大,増幅するには,てこ,光てこ,動電コイル,圧電素子,歪計,差動トランス,ホール素子,容量変換器などが用いられる。Mの固有振動数をf0,振動物体の振動数をfとすると,相対変位はf0≪fの場合変位,f0≈fの場合速度,f0≫fの場合加速度に比例する。したがってf0を適当な値に設計することにより,振動変位計,振動速度計,振動加速度計となる。
振動公害の対象となる鉄道,自動車,土木作業などで引き起こされる振動が,人体の振動感覚に与える影響を考慮して,公害振動を測定するための振動レベル計および測定方法がJISで規定されている。振動レベルはa0=10⁻5m/s2の振動加速度を0 dBとして,20 log10(a/a0)で定義した加速度レベルaの値を用い,dBで表示する。周波数範囲は1~90Hzで,振動感覚曲線に対する補正をほどこし,総合して出力が周波数に対し平たんになるよう配慮されている。
執筆者:平山 宏之
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振動の波形、振幅、周波数、加速度などを測定する計測器。通常、機械、車両、船、構造物など周波数範囲が約1~1000ヘルツの振動を測定するものをいう。地震のようにこれより遅い周波数を測定するものは地震計といい、速い周波数を測定するものは音響測定機の分野に入る。原理は、振り子(質量)を弾性ばねで支え、減衰を与えた振動糸を、測定しようと思う振動物体に当て、質量の変位または慣性力を指示し、あるいは記録させる。変位を拡大するのには光学的、機械的、電気的方法がある。振動の変位などを電気量に変換し、増幅してオシログラフを使用して観測する場合もある。この方法では、振幅はマイクロメートル(1000分の1ミリメートル)以下のものでも測定ができ、周波数も数千ヘルツまでも測定できる。
[中山秀太郎]
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