出会い,別れに際しての挨拶の基本的動作。相手に武器を持っていないことを示す信頼のあかしとして広く西欧文化圏で一般化をみた。〈手を取りあう〉〈手を握る〉〈手を切る〉などという表現が人間関係の絆(きずな)を表しているように,握手は結合のサインとなる。握手は初対面のときやそれほど親しくない間柄のばあい,互いに軽く会釈して交わす儀礼的行為となるが,強い感情を表現する場合には他の動作が伴う。相手を認めたとき,笑顔やまゆ毛をつり上げるといった表情で表したり,片手をあげたり,手振りでもって歓迎の意を表して接近する。握手はふつう右手で行われる。両手をさしだして左手を相手の手の甲に添えたり,右腕や肩に触れあるいは抱く形をとって歓迎・親愛の情を示す。これ以上親しい間柄では握手は省略される。握手は相手との間に一定の距離を保ちつつ,かつ身体的に接触する結合サインとしての最大限の,形式的・儀礼的な挨拶の表現動作である。
執筆者:藤井 正雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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