デジタル大辞泉
「握」の意味・読み・例文・類語
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にぎり【握】
〘名〙 (動詞「にぎる(握)」の連用形の名詞化)
① 手で握ること。また、握ったもの。
※遠方の人(1941)〈
森山啓〉三「彼女は雪の握りをこしらへた、と思ふと、〈略〉潤吉に投げつけたのである」
② 手で握った長さ・太さ、または量。
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一「蠃坏
(らはい)・
漆器の中に、掬
(ニキリ)許りを傾け取りて、堅き塼
(かはら)の上に安く」
※今川大双紙(15C前)弓の㩮をまき様「弓の㩮を巻き様、数は七九十一也」
④
囲碁で、先後や置石の数などを握った石の数で決めること。
互先の場合は一方(先輩格)が
白石を握り、
相手が「丁先(偶数先)」など声をかけ、当たれば相手が先番となる。
⑤ けちなこと。しわいこと。
※
真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉一八「握鮓
(ニギリ)ばかりで何にも出来ません」
※
祭りの場(1975)〈
林京子〉「まっ白のニギリを食べたいとは思わなかった」
※
百鬼園随筆(1933)〈内田百
〉
債鬼「なんにも持たないで、握りで話をつけようとせられるから」
にぎ・る【握】
〘他ラ五(四)〙
① 手の五本の指を内に曲げる。また、指を曲げて固くものを締め持つ。
※
書紀(720)継体
二三年四月(前田本訓)「御狩
(みかり)他
(ひとの)門に入隠れて乞
(ものこ)ふ者の過
(す)ぐるを待ちて手を捲
(ニギル)遙に撃
(うつまね)す」
※竹取(9C末‐10C初)「手にひらめる物さはる時にわれ物にぎりたり」
②
手中におさめる。自分のものにする。掌中に帰す。掌握する。
※
源氏(1001‐14頃)真木柱「おなじ巣にかへりしかひの見えぬかないかなる人か手ににぎるらん」
※
日葡辞書(1603‐04)「セカイヲ タナゴコロニ niguiru
(ニギル)」
※金(1926)〈
宮嶋資夫〉二三「何か、的確な証拠を刑事が握
(ニギ)って来たものであらうと」
※
古今著聞集(1254)一〇「女みづから其の飯をにぎりて食はするに」
⑤ カルタをする。
※雑俳・軽口頓作(1709)「たりませぬ・おかさん起てにぎらしゃれ」
にぎら・す【握】
〘他サ五(四)〙
① 握るようにさせる。手に持たせる。
※
浮世草子・
傾城禁短気(1711)二「いか程深い念比の客にても、手もろくににぎらす事にあらず」
② (金を相手に握らすところから) 賄路
(わいろ)の
金銭を与える。「
口封じにいくらか握らす」
にぎら‐・せる【握】
※俳諧・
新身(1705)「当然の理や握らする目付銭」
あく【握】
〘名〙 握っていること。手中。
※蕉堅藁(1403)題玉畹外史扇「此物在レ握、爽二人襟宇一」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報