放す(読み)ハナス

デジタル大辞泉 「放す」の意味・読み・例文・類語

はな・す【放す】

[動サ五(四)]《「離す」と同語源》
捕らえられたりつながれたりしている動物などを自由にしてやる。「魚を川に―・す」「猟犬を―・す」
握ったりつかんだりしていたのをやめる。「母の手を―・す」「ハンドルから手を―・す」
手元から遠くにやる。手放す。「刀を―・したことがない」
矢や弾丸を発射する。はなつ。
「近くで―・しただけに狙いも狂わず」〈円朝真景累ヶ淵
料理で、水や汁などに入れて散らす。「ナスを水に―・してあくを抜く」
(他の動詞の連用形に付いて)
㋐あることをしたままほうっておく。「見―・す」
㋑ある状態を続ける。前に促音が挿入されて「ぱなす」の形をとることが多い。「勝ちっ―・す」
[可能]はなせる
[類語]放つ解き放す解放放れる

ほか・す【放す】

[動サ五(四)]《「ほうか(放下)す」の音変化か》ほうりすてる。うちすてる。
画稿したえを掻集めて、長椅子の上へ―・して」〈二葉亭訳・片恋

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「放す」の意味・読み・例文・類語

ほか・す【放】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙 ( 「ほうか(放下)す」の変化した語か ) ほうりすてる。なげすてる。うちすてる。
    1. [初出の実例]「二三人よって、ちゃうちゃくしてかきをも、みなほかす」(出典:虎明本狂言・合柿(室町末‐近世初))
    2. 「フン其(そん)邪推は海へ放下(ホカ)して貰(もら)ひたいもの」(出典団団珍聞‐五五七号(1886))

放すの語誌

( 1 )室町時代以降、「ほうかす」とともに多く見られる。江戸時代文献には、この語を漢語「放下(ほうか)」と結びつけて理解していると思われる記述が多い。
( 2 )「ほうかす」「ほかす」が「ホウカ(放下)」に基づくとすれば、「ホウカ」を動詞化した「ほうかす」が先にあり、縮約化された「ほかす」がその後に生じた、ということになる。


はが・す【放】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 未詳。「はなつ(放)」の上代東国方言で放牧する意か。一説に「はがす(剥)」かとも。
    1. [初出の実例]「赤駒を山野に波賀志(ハガシ)捕りかにて多摩の横山徒歩(かし)ゆか遣らむ」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四一七)

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