数・算(読み)かぞえる

  • かぞ・える かぞへる

精選版 日本国語大辞典の解説

〘他ア下一(ハ下一)〙 かぞ・ふ 〘他ハ下二〙
① 順番や数量を勘定する。計算する。
※万葉(8C後)五・八九〇「出でて行きし日を可俗閇(カゾヘ)つつ今日今日と吾(あ)を待たすらむ父母らはも」
② 一つ一つ並べ上げる。数え上げる。
※青表紙一本源氏(1001‐14頃)夕顔「なにがし、これがしとかぞへしは」
③ ある範囲内の一つとして数に入れる。数え入れる。
※源氏(1001‐14頃)関屋「なほ親しき家人の中にはかぞへ給ひけり」
④ あれこれとはかり考える。商量する。
※書紀(720)天武八年四月(北野本訓)「諸の食封(へひと)有る寺の所由を商量(カソヘ)(〈別訓〉はかり)て、加すべきは加し、除(や)むべきは除めよ、とのたまふ」
※源氏(1001‐14頃)胡蝶「こころざしのおもむきに随ひて、あはれをもわき給へ。労をもかぞへ給へ」
⑤ 白拍子(しらびょうし)をうたう。白拍子のように無伴奏で、歌謡を拍子をつけてうたう。
※平家(13C前)一〇「白拍子を、まことにおもしろくかぞへすましたりければ」
[語誌](1)古くは、①②の意味で「よむ」と類義関係にある。上代・中古の「かぞえる」には「手を折りて(かぞふ)」など、指を使って計算している表現が見られるが、「よむ」にはそのような例は見られない。「かぞえる」は専ら数を計算すること自体に意味の中心があったと考えられる。
(2)⑤の意味は、「かぞふ」②の、一つ一つ数え上げ並べ上げてたどっていくという意味から派生した用法と考えられる。それは、「よむ」が、声を上げてひとつひとつ(数や文字を)区切りながら読みあげていくという原義から派生して、定型である和歌を「詠む」という意味を持つようになったことと類似した派生関係にある。→よむ(読)
(3)類似形「かずふ」(下二段)の確例は中古以降のものであり、方言形「かずえる」は西日本に限られるところから、「かずふ」は、「数」からの類推で後に新しく生まれたものかと考えられ、口頭語的・俗語的な性格を強めながら、規範的・文章語的な「かぞふ」と併存したものと思われる。
(4)室町時代頃から、ヤ行にも活用して「かぞゆ」(終止形は多く「かぞゆる」)が使われた。したがって、室町以降の連用形の例はヤ行かハ行か明らかでないが、明瞭なものだけを「かぞゆ」の項にあげた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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