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読む/詠む ヨム

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デジタル大辞泉の解説

よ・む【読む/詠む】

[動マ五(四)]
文字で書かれたものを一字一字声に出して言う。「子供に本を―・んでやる」「経を―・む」
文字や文章、図などを見て、その意味・内容を理解する。「小説を―・む」「グラフから業績を―・む」
外面を見て、その隠された意味や将来などを推察する。「手の内を―・む」「来春の流行を―・む」
(「訓む」とも書く)字音を訓で表す。漢字を訓読する。「春をはると―・む」
数をかぞえる。「票を―・む」「さばを―・む」
(ふつう「詠む」と書く)詩歌を作る。「歌を―・む」「秋の風物を―・む」
囲碁・将棋で、先の手を考える。「一〇手先まで―・む」
講釈師が演じる。「一席―・む」
[可能]よめる
[動マ下二]よめる」の文語形。
[下接句]行間を読む鯖(さば)を読む鼻毛を読む腹を読む睫(まつげ)を読まれる眉(まゆ)を読む眉毛を読まれる門前の小僧習わぬ経を読む

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

読む
よむ

読むことの意義


「読む」の原義は「数を数える」であり、現代日本語にも「票を読む」「秒読み」などの形で残っている。しかし「票を読む」は、「支持票を見積もる」の意味が優勢になり、「数える」の意味で使われることは少なくなった。ほかに「相手の腹を読む」「将棋の手を読む」などの用法もあるが、もっとも重要で頻度の高いものは、(1)文字、文章等を見てその表す音を声に出す、
(2)文字、文章等を見てその意味を理解する、この二つの「読む」である。そして「文字、文章等」には記号、符号、暗号、標識、計器なども含まれ、これらについて声に出す、意味を理解する、のいずれかが行われたとき「読む」行為が成立する。両方同時に行われることもある。
 (1)の例では、幼児が初めて文字を声に出して読んだときや、珠算の読み上げ算の読み、数表の読み合わせ校正などの「声に出す」読みがあり、かならずしも意味の理解が伴わなくてもよい。したがって、意味のわからない外国語のスペルを読み上げて電話で伝えるなどもこれにあたる。(2)の例としては、熟練した読み手の読書、暗号解読、標識や計器の読み取りなどの「意味を理解する」読みがあり、かならずしも発声を伴わなくてもよい。オーケストラの総譜などでは、音を出さないで曲を理解する「読み」が可能である。「読む」行為には、きわめて高い知的能力が要求されるので、他の行為より学習が遅く始まり、また、長い学習期間が必要となる。「読む」行為は、直接に体験できないことの体験(代理体験)を可能にし、教養として、娯楽として、ときには病気の治療にも利用されて(読書療法)、人間生活をより豊かにしてくれる。[阪本敬彦]

読むメカニズム


「読む」行為は、文字、文章等を目で見ることから始まる。
 眼球を動かさない状態で無意味つづりを瞬間露出すると、網膜中央部にピントがあっている文字群だけでなく、周辺部にぼけて受像している文字群をも同時に読むことができる。有意味なつづりを瞬間露出すると、読み取れる幅が広がり、文脈のあるつづり(文章)だと、さらに多くの文字を読み取ることができる。熟達した読み手であるほど、瞬間的に読み取れる文字数は多くなり、生理的には見えていないと思われる文字まで読み取るようになる。「読む」行為には、単に見えている文字群だけでなく、推量や記憶の働きによって、よく見えてはいない部分をも受容することが含まれているのである。[阪本敬彦]
眼球運動――停留と移動
目を動かして文章を読むときの眼球は、滑らかに動くのではなく、ごく短時間の「停留」と「移動」とを繰り返している。停留は、文字ごと、単語ごとにおこるものではない。読み手は、ひとかたまりの文字単語群を1停留で読み取っている。1回の停留時間や、1停留で読み取れる文字数などは、読み手の技術や、読み物の難易によって異なり、個人差が大きい。大まかにいえば、1回の停留時間はおよそ0.2~0.4秒でこの間に読み取りが行われる。停留から停留への移動時間は、1回に0.01秒程度のごく短いもので、この間にはなにも読み取れない。読書時間の約95%が停留、約5%が移動に使われていることになる。
 初歩の読み手では、眼球運動の停留と移動が未分化で、一つの点にぴたりと止まることも、次の点にさっと動いていくこともできない。それがしだいに「止まる」「動く」がはっきりし、上手な読み手では、停留と移動が美しいリズムをもって反復されるようになる。また未熟な読み手では、停留の数が多く、読み直すための逆行も多い。次の行の頭へ目が移るときにスムーズにいかないで、むだなところに停留することもある。これらがいつまでも残っているとよい読み手にはなれないが、一般には小学4~5年生くらいまでに、眼球運動の基本が身につくものと考えられている。[阪本敬彦]
眼球運動の停留・移動さらに推量へ
読みの過程では、1停留で文字単語群を読み取り、次の停留で次の部分を読み取るということを、単純に繰り返しているのではない。読み手は、読みつつある部分の文脈と、周辺視で見えている後続部分の字面を手掛りとして、文章の続きを推量している。推量が当たればさらに次の推量を行い、外れれば推量を修正しながら読み進む。そのまま進んでいては頭では修正できないような大幅な「外れ」に遭遇すると、目を戻して読み直すことになるから、能率が落ちる。この意味で、良い読み手になるには、文字や単語をたくさん知っていること、理解が早くて読みが正確であることなどの基礎的能力に加えて、書き手の心の流れを推量する力を身につけなければならない。
 非常に速く読めるアメリカ人の例では、1停留で4単語が把握されているという。0.2秒で4単語読めれば1分では1200語となり、このへんが眼球運動の上からは限界分速であると考えられる。これ以上の速さで読めるとすれば、眼球を行に沿って走らせないなど、特別な読み方をしていると考えてよい。[阪本敬彦]
読むことと大脳の働き
目で読み取られた文字が、大脳でどのように処理されているかは、現段階では、ほとんどわかっていない。しかし、脳に障害をもつ患者の症例から、次のことがほぼ確かであるといわれている。
(1)大脳左半球(左脳)に損傷があると、言語機能「話す」「聞く」「書く」「読む」のすべてが失われることがある。「読む」ことは他の3機能と同じように、左半球内で処理されているらしい。
(2)「話す」「聞く」「書く」の機能は残っているのに、「読む」だけが失われる(自分で書いたものも読めない)症例がある。同じ左半球内であっても、「読む」ことは他の3機能とは別に処理されているらしい。
(3)仮名の読みは残っているのに漢字の読みの機能だけが失われるケース、逆に漢字の読みは残っているのに仮名だけが読めなくなるケースがある。仮名と漢字の読みは、別々に処理されているらしい。
(4)脳の同じ位置に同じ大きさの損傷を受けた場合でも、仮名だけ読めなくなる場合もあれば、漢字だけ読めなくなる場合もある。ということは、仮名の読みと漢字の読みとが、別々の「特定の部位」で処理されているとは考えにくい。また脳の損傷はそのままなのに、仮名だけ読めない人や漢字だけ読めない人が、治ることもある。脳のある部位が損傷を受けたら、仮名(または漢字)の読みが永久に失われるというものでもないらしい。[阪本敬彦]

読むことの考察


読みやすさ
現代社会に生きるためには多くの読書材を速く読みこなすことが必要である。それには、読み手の側の技術向上が必要なことはもちろんだが、供給する側も「読みやすい」読書材を作成する技術を知っていなければならない。「読みやすさの公式」はアメリカで発達し、すでに数十種類の公式があるが、これらが採用している読みやすさの要因には、次のようなものがある。
(1)語彙(ごい)の問題――抽象語、長い単語、使用頻度の高い単語が少ないほど、また人間に関係する単語(私、母、友達など)が多いほど、文章は読みやすい。
(2)文章構造の問題――重文・複文が少ないもの、平均文長が短いもの、会話文が多いものが読みやすい。
(3)総合的問題――一定間隔で単語を消したとき、その復原性が高いほど読みやすい。この「復原性の高さ」については、日本語についても研究され、二つ以上の読書材の読みやすさを比較する方法が考案されている。手続は、(イ)各読書材からサンプルとして約400語の文章を抜き出し、(ロ)等間隔に(各8語目ごとなど)約50単語を消してブランクとし、(ハ)30人以上の人に復原させる。この結果、原文との的中率が高いほど「読みやすい」文章であると判断できる。ただし「的中」とは、原文とまったく同じ(表記の差は不問)ものとする。
 日本語の読みやすさに影響する要因としてよく取り上げられるのは、「文長」と「漢字率」の二つである。おおよその目安として、成人が読み手の場合、読みやすさが「普通」の文章は、平均文長40~45字、漢字率は30%前後とされている。児童・生徒が読み手の場合では、すでに学習した漢字しか読めないという制約があり、文長よりも漢字率のほうが大きい問題となる。目安としては、小1~2で漢字率5%、小3で10%、小4で15%、小5~6で20%、中学生で25%、高校生で30%前後が普通の読みやすさとされる。
 読みやすさを考えるとき、以上のような統計値だけでなく、読み手がその文章を能率的に読み進められるように仕上がっているかどうかが問題になる。第一に、読み進めるときに行う「推量」が当たりやすいような文脈で書かれているかどうか。想定する読み手の大多数がもっている文脈、論理、思考過程とかけ離れた書き方がされていれば、使用漢字を制限しても読みやすい文章にはならない。第二に、読み手の眼球運動がリズミカルに進むように仕上がっているかどうか。全体としては同じ漢字率であっても、1か所に漢字が集中しているより、分散しているほうが眼球運動のリズムがとりやすい。漢字を仮名書きに直しても、単語が次の行にまたがると読みにくくなる。このような、数字には表れにくい配慮が、読みやすさにかなり影響するのである。[阪本敬彦]
読む速さ
文字を読み始めるころの幼児は音読しかできないが、学齢に近づくにつれ黙読ができるようになる。音読と黙読との中間に、声は出さないが口だけ動く「唇読」がみられる場合もある。初期の黙読は音読より遅いが、小学3年生くらいから急に黙読の速度があがり、音読を追い越す。音読の速さは小学校高学年くらいで進歩が頭打ちとなるが、黙読はその後もスピードを増し、中学の終わりか高校の初めまで向上が続く。黙読の速さの個人差は大きい。非常にやさしい文章を6年生の子供に読ませると、最高が分速1400字くらい、最低は400字程度で、1分間に1000字という大差がつく。読みの遅い子供には、逐字読み、逐語読み、微音読、唇読などの悪い癖がついていることが多い。[阪本敬彦]
速読
成人の場合には、読み物の難易によって読む速さが大きく左右されるが、ビジネスマンが普通の難易度の本を読むときの分速は平均500字くらい、最低は約300字、最高は700~800字であって、これだけでも上と下では2倍以上の能率差がある。そのうえ、速く読もうと努力したことのある者、速読の訓練を受けた者などでは、分速1000字を超えることも珍しくないから、その能率差は開く一方になる。
 情報化時代となって、速読が不可欠の技術として注目され、速読術のテキスト、速読術の教室などが出現した。いろいろな訓練法があるが、よく採用されているものには、〔1〕注意集中の訓練、〔2〕眼球運動の訓練、〔3〕視幅拡大の訓練、〔4〕走り読みの訓練、などがある。[阪本敬彦]
「読む」ことの将来
テレビの普及が原因となって発生した「活字離れ」は、1964年(昭和39)に初めて小学生の統計に表れた。以来、軽読書の流行、漫画の隆盛、不読児の増加など、「読む」ことの将来に楽観を許さない社会現象も多く出現している。パターン認識やコンピュータの研究が進めば、音声言語を文字化する機械や、書類を音読する機械ができるようになってくる。そうなれば、読めなくても、また書けなくても、話したことが文書として残り、もう1人の非識学者がそれを機械で聞くことが可能となる。ますます「読む」ことから遠ざかる将来がみえてくる。
 だが、人が「読む」ことを学ばなくてもすむ時代はこない。情報化社会が進めば、人は多くの情報を速く摂取することを要求されるが、それには機械で「聞く」のでは、とてもまにあわないからである。目で読み取る「黙読」のスピードに頼らなければ、変化に富んだ社会の一成員として機能していくことは不可能であり、情報化が進むにつれて、「速読」への関心は今後、いっそう高まることだろう。一方、情報を速く処理するための読みだけではなく、より豊かに生きていくための、文学の読み、娯楽的読書などの、読みを楽しむことや、また、文字として残された文化遺産の継承は、新しい意味を帯びるに違いない。そこで人は、速い読みと急がない読みとを使い分ける「読みの柔軟性」が求められることになるだろう。[阪本敬彦]
『阪本一郎編著『現代の読書心理学』(1971・金子書房) ▽阪本一郎・滑川道夫・波多野完治・室伏武編『新読書指導事典』(1981・第一法規出版) ▽Theodore L. Harris and Richard E.Hodges A Dictionary of Reading and Related Terms (1981, International Reading Association, Newark, Delaware)』

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世界大百科事典内の読む/詠むの言及

【文学理論】より

…これは,出版制度とか書物の受容のされ方に的をしぼった,いわゆる社会学的な方向からのものではない。そこで問題にされているのは,読むという行為そのものの特性をどう考えるかということである。これまでの文芸批評においては,テキストを読むとは作者がそのテキストに与えた意味を正しく読みとることであると説明されることが多かった。…

※「読む/詠む」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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