コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

数学的帰納法 すうがくてききのうほうmathematical induction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

数学的帰納法
すうがくてききのうほう
mathematical induction

自然数 n についてのある命題 A(n) において,A(1) は真である,ある任意の自然数 s について A(s) が真であると仮定すれば A(s+1) もまた真である,という2つのことが証明されれば,A(n) はすべての自然数 n についてであるという推論が成り立つ。この推論を数学的帰納法あるいは完全帰納法といい,自然数全体の集合を定義したペアノ公理系の第5公理を基礎に導かれる論法である。そこでペアノの第5公理を数学的帰納法の公理と呼ぶ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

すうがくてき‐きのうほう〔‐キナフハフ〕【数学的帰納法】

数学で、自然数nの命題が、n=1のときに成り立ち、次にnkのときに成り立つと仮定して、nk+1のときにも成り立つことを証明すれば、この命題は任意の自然数nについて成り立つという証明法。完全帰納法。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

数学的帰納法【すうがくてききのうほう】

完全帰納法とも。自然数nを含む命題P(n)について,1.P(1)は真である,2.P(k)が真であると仮定すればP(k+1)も真である,の二つが証明されれば,P(1),P(2),P(3),…が真であることを順に証明でき,したがってP(n)がすべての自然数nについて真であることが証明される。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

すうがくてききのうほう【数学的帰納法 mathematical induction】

個々の具体的事実から一般法則を導くことを論理学では帰納というが,数学的帰納法というのはそれとは多少異なり,次に示すような数学の証明法を意味する。 例えば,1からnまでのn個の自然数の和Snn(n+1)/2であるが,これを証明するのに次のようにしてもよい。(1)n=1のときは,S1=1,1×(1+1)/2=1ゆえ,S1については正しい。(2)nkのとき正しいとすると,Sk+1Sk+(k+1)=k(k+1)/2+(k+1)=(k+1)(k/2+1)=(k+1)(k+2)/2ゆえ,k+1のときも正しい。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

すうがくてききのうほう【数学的帰納法】

自然数 n に関する命題において、 (1) この命題が n =1 のとき成立し、 (2) n k のとき成立すると仮定すれば n k +1 のときにも成立する、という二つの事柄を証明できるとき、この命題はすべての自然数 n について成立する、と結論する証明法。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

数学的帰納法
すうがくてききのうほう
mathematical induction

自然数上の変数を含む命題に対し、自然数のある性質に着目して、その命題を証明、あるいは定義するための手法をいう。p(x)を自然数xについての述語とするとき、自然数の性質として、「p(1)が成り立ち、かつ、任意の自然数kについてp(k)ならばp(k+1)である、が成立すれば、すべての自然数nについてp(n)である」が成り立つことが知られている。このことを用いた証明あるいは定義が、数学的帰納法による証明であり、数学的帰納法による定義(帰納的定義)である。
 たとえば、

が成立することの証明には、「n=1のときには、左辺、右辺とも1となって成立する」。さらに、「nkのとき成立すると仮定すると、

となって、nk+1の場合も成立する」ことで十分である。
 次に、ある数列{an}を数学的帰納法によって定義してみよう。n=1のとき、anを1、すなわち、a1=1と定義し、nkのときakが定義されていると仮定して、nk+1のとき、ak+1ak(k+1)と定義する。このような帰納法による定義は、

と書くのが普通である。この定義による数列は、
  a1=1, a2=12=2, a3=23=6,
  a4=64=24, a5=245=120, ……,
  an=1234……(n-1)n(=n!),……
となる。この方法によって数列{an}が定義されていることは、「数列の第nanが定義される」という命題p(n)を考えてみればよい。
 数学的帰納法には、「任意の自然数kについて、mkなるすべての自然数mに対しp(m)ならばp(k+1)である、が成立すれば、すべての自然数nについてp(n)が成立する」など、いろいろな形式のものがある。なお、数学的帰納法は、その形式が「帰納」にきわめて似通っていることからきた名称で、内容は、対象のすべてを調べるのであるから、「演繹(えんえき)」の一種である。このため、完全帰納法ともよばれる。[廣瀬 健]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

数学的帰納法の関連キーワード四色問題(よんしょくもんだい)ド・モルガンフェルマー超限帰納法補助定理パスカル集合論演繹

今日のキーワード

隗より始めよ

《中国の戦国時代、郭隗(かくかい)が燕(えん)の昭王に賢者の求め方を問われて、賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いよ、そうすれば自分よりすぐれた人物が自然に集まってくる、と答えたという「戦国策」...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android