唱え言葉の文字を組み合わせて絵をつくる遊び。子どもの間に広く伝承されているもので多くの例があるが,なかでも〈ヘマムシ(ョ)入道〉や〈へのへのもへじ〉(または〈へのへのもへの〉),〈いろは天狗〉や〈つるハ〇〇ムし〉などが有名である。〈ヘマムシ入道〉の文字絵は山東京伝の《奇妙図彙(ずい)》にも出ている。〈へのへのもへじ〉は主として東日本で,〈へのへのもへの〉は主として西日本で行われているが,中部地方にはそれらの変形として〈へのへのもへと〉の例も報告されており,また筆順が〈へへののもへじ〉の唱え言葉による例も関東・中部地方にある。なお,文字絵に似ている遊びに絵書き歌があるが,これは唱え言葉が長く,かならずしも文字の形にならない。たとえば〈ミミズが3匹はってきて,だんごが三つころがって(朝飯昼飯晩の飯),雨がざあざあ降ってきて,霰(あられ)がぽつぽつ降ってきて,笠をかぶって(あっというまに),タコ入道〉というような唱え言葉を歌うように唱えながらタコ入道の絵を書く。絵書き歌にも多くの例がある。
執筆者:小池 文貞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
文字をあしらって絵画的に表現したもの。よくみられる「へのへのもへじ」はその類。これは文字のみで描くが、文字を巧みに組み合わせ、それに頭、手足などを書き足して文字絵を書くこともある。
日本では平安時代に葦手絵(あしでえ)とよばれるものも、広い意味で文字絵といえよう。水際に葦などの生えた姿を描いたもので、草木、岩、鳥などを配し、和歌などを散らし書きにした絵となっている。葦手絵は葦手書き、散らし書きなどともよばれた。江戸時代には戯画として文字絵が盛んに描かれた。当時の随筆『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』(1830)によると「宝暦(ほうれき)のころ童(わらは)の翫(もてあそ)びの草子に文字絵とて武者などの形を文字にてかき頭と手足をば絵にてかきそへたるものあり」とあり、文字絵は子供たちのなぐさみとなっていたことがわかる。また江戸時代には、文字絵の一種として衣装の図柄に文字を使う「文字入(いり)」があった。
ヨーロッパにおいても文字を装飾的にした飾り文字がみられる。それには、文字自身を絵画的に表現したものと、文字に人物などを組み合わせたものとがある。前者はワイシャツなどにみられる。
[芳井敬郎]
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