文政金銀(読み)ブンセイキンギン

デジタル大辞泉 「文政金銀」の意味・読み・例文・類語

ぶんせい‐きんぎん【文政金銀】

江戸幕府文政年間に鋳造を始めた金銀貨。二分金一朱金一朱銀新鋳と、小判一分金二分金丁銀豆板銀二朱銀改鋳とがある。背面草書の「文」の字があるものを草文・草文字金銀・新文字金銀といい、新鋳の二分金は楷書を用いたので真字真文)二分金といった。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「文政金銀」の意味・読み・例文・類語

ぶんせい‐きんぎん【文政金銀】

江戸時代、文政年間に発行された金銀貨。小判・一分金・二分金・一朱金・一朱銀・二朱銀・丁銀・豆板銀など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「文政金銀」の意味・わかりやすい解説

文政金銀 (ぶんせいきんぎん)

1818年(文政1)発行の文政真文二分金はじめ,19年の文政小判,文政一分金,20年の文政丁銀・豆板銀,24年の文政南鐐二朱銀,文政一朱金,28年の文政草文二分金,29年の文政南鐐一朱銀を総称していう。江戸幕府は1736年(元文1)の貨幣改鋳以来,長期間にわたりほとんど改鋳・増鋳を行わなかったが,文化・文政期(1804-30)における経済発展や幕府財政の窮乏化に対応して大規模な改鋳が実施された。文政期の改鋳に際して,幕府は1824年大坂で両替屋十五軒組合を組織し,江戸においても両替屋に新二朱銀の引替方を編成し,新旧両貨の交換業務を円滑に行うことができる体制の強化につとめた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「文政金銀」の意味・わかりやすい解説

文政金銀【ぶんせいきんぎん】

1818年―1829年(文政1年―12年)に鋳造された貨幣。長く元文(げんぶん)金銀が流通していたが,文化(ぶんか)・文政(ぶんせい)期における経済発展や幕府財政の窮乏化に対応して,品位を落とし改鋳。小判・真文(しんぶん)二分金・一分金・草文(そうぶん)二分金・丁銀豆板銀・南鐐二朱(なんりょうにしゅ)銀・南鐐一朱銀など6回に分けて鋳造。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文政金銀」の意味・わかりやすい解説

文政金銀
ぶんせいきんぎん

江戸時代,文政1 (1818) ~12年の文政改鋳の際,新鋳,改鋳された金・銀貨幣の総称。金貨幣には一朱金,一分金,二分金,小判など,銀貨幣には一朱銀,二朱銀丁銀 (ちょうぎん) ,豆板銀などがあった。幕府財政悪化を打開するため改鋳益金 (品位を落して差額収益とする) 入手を目的として鋳造されたもので慶長金銀元禄金銀元文金銀などの古貨に比べ著しく劣悪だった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「文政金銀」の解説

文政金銀
ぶんせいきんぎん

1818年(文政元)の真文二分金の新鋳に始まる,文政~天保初年に江戸幕府により鋳造・発行された金銀貨。文政(草文)小判・一分金は80年余流通した元文(真文)小判・一分金と同量目,品位はわずかに落ちて56.41%,文政丁銀・豆板銀(小玉銀)の品位は36%となった。文政金銀の特徴は多くの小額金貨や計数銀貨が新鋳されたことにある。1両当りの価値が通用小判と同一な真文二分金は,28年に13%価値の低い草文二分金に改鋳され,通用小判の半分前後の価値しかない一朱金,天保二朱金も大量発行された。南鐐(なんりょう)二朱銀も26%小型の文政二朱銀に改鋳され,さらに低価値の一朱銀も出回り,小額貨幣全盛の時代に入った。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の文政金銀の言及

【文化文政時代】より

…将軍家斉は生涯を通じて40人の側妾(そくしよう)を持ち,このうち17人の腹から55人の子が生まれたが,これは家斉の大奥生活がどんなに長かったかを物語るものであり,豪奢(ごうしや)な生活内容を示唆してあまりある。 家斉の奢侈(しやし)生活や北方問題の進展による出費の増大が,寛政改革でやや立直りを見せた幕府財政をふたたび悪化させたが,幕府はこれに対して,倹約令の反復と並んで貨幣改鋳(文政金銀)の益金に頼る方針を取った。しかし前後8回に及ぶ悪貨の乱発は幕府財政の補強には役だったが,諸物価の騰貴や銭相場の下落などを招き,民衆の生活をいっそう悪化させた。…

※「文政金銀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android