(読み)キン

デジタル大辞泉 「斤」の意味・読み・例文・類語

きん【斤】[漢字項目]

常用漢字] [音]キン(漢) [訓]おの
おの。「斧斤ふきん
重さの単位。約六〇〇グラム。「斤目きんめ斤量英斤
[名のり]のり

きん【斤】

尺貫法質量の単位。1斤はふつう160もんめで、約600グラム。商品の包装単位には、慣用的に100匁・120匁・180匁などを1斤とする場合がある。
英斤えいきん
食パンの単位。1斤は350~400グラムをいう。

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精選版 日本国語大辞典 「斤」の意味・読み・例文・類語

きん【斤】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制の重量の単位。二四銖を一両とし、一六両を一斤とし、一銖は唐制にならって中程度の大きさのきび一〇〇粒の重さに相当する規定であった。これは小斤で、他に三両を大両とする大斤があり、大斤は銅銀穀などをはかるのに用い、他は小斤を用いる定めであったが、延喜式では湯薬をはかる場合にのみ小斤を用い、他は大斤を用いるとしている。
    1. [初出の実例]「権衡。廿四銖為両。〈謂。以秬黍中者百黍重銖。廿四銖為両〉〈三両為大両一両〉、十六両為斤」(出典:令義解(833)雑)
    2. 「一斤(キン)の名香を一度に炷き上げたれば」(出典:太平記(14C後)三九)
  3. 尺貫法の重量の単位。一六〇匁(もんめ)、六〇〇グラムにあたる。
    1. [初出の実例]「度量衡の名称命位を定むること左の如し〈略〉斤百六十匁」(出典:度量衡法‐明治四二年(1909)三月四日制定)
  4. 重量の単位。薬品など計測する対象によって、種々の重量がある。
    1. [初出の実例]「にんじんを十きんや廿きんではなるまひ」(出典:咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上)
  5. 舶来品の重量の単位。英国ポンド(四五三・六グラム)にほぼ等しく一二〇匁とする場合が多い。
  6. 食パンの単位。一定範囲の重量で示し、三五〇~四〇〇グラムとする。
    1. [初出の実例]「其麺麭も半斤(はんギン)の二分ノ一と分量は何時のまにか定められてゐた」(出典:明暗(1916)〈夏目漱石〉四四)
  7. 容量の単位。多く酒について用い、一升を一斤とする。
    1. [初出の実例]「若衆や、のめめへ、一つ斤(キン)取って下せへ」(出典:洒落本・南極駅路雀(1789))

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普及版 字通 「斤」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] キン
[字訓] ておの・きる

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 象形
おのの形。〔説文〕十四上に「木を斫(き)るなり」とあり、手斧をいう。武器に用い、斤を両手でふりあげている形は兵。兵とは武器をいう。また重量の単位として用いる。

[訓義]
1. おの、ておの、ちょうな、まさかり
2. きる、おのでうつ。
3. はかりの量、十六両。

[古辞書の訓]
名義抄〕斤 ハカリ

[部首]
〔説文〕に斧・斫・(所)・斷(断)・新など十四字、〔玉〕に斬以下を加えて三十字を属する。(たく)は縁に切りこみのある盾の形と斤とに従い、盾に文様を刻むこと、斷は織糸を切る意である。

[声系]
〔説文〕に斤声として(祈)・(近)・(欣)・・忻・沂など二十三字を収める。斤を聖器として用いることがあり、は祝の意をもつ字である。

[語系]
斤kin、gii、听ngin、欣・忻・xinのように斤声が分化しているが、祝の意をもつものが多い。は旗giと近く、欣・忻は喜xiと通用の義をもつ字である。

[熟語]
斤斤・斤削・斤鑿・斤重・斤正・斤・斤斗・斤斧・斤風・斤両・斤量
[下接語]
運斤・斤・揮斤・樵斤・神斤・操斤・投斤・万斤・鼻斤・百斤・斧斤・奮斤

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改訂新版 世界大百科事典 「斤」の意味・わかりやすい解説

斤 (きん)

尺貫法における質量の単位。中国古来の単位であり,日本でも銖,分(ぶ),両,斤の系列の単位として古くから用いられた。公式には1斤=16両の関係にあったが,計量品目に応じて大きさを異にするようになり,市井の単位の匁に対して,160匁の唐目(からめ)の斤,180匁の大和目(やまとめ)の斤などさまざまな斤があり,また舶来品には1ポンドに近い120匁を斤(英斤)とした。1891年制定の度量衡法により銖,分,両は廃止され,斤だけが160匁=600gとして残されたが,尺貫法の廃止に伴い1959年以降法定単位ではなくなった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「斤」の意味・わかりやすい解説


きん

中国度量衡制の質量の基本的な単位。160銭(匁(もんめ))で600グラムにあたり、唐(618~907)以来変わらず、日本に渡来してからもその大きさを変えていない。中国古代に発生した単位で、前漢のころ確定し、隋(ずい)代に漢代のほぼ3倍になり、以後安定した。唐代に日本にもたらされて大宝律令(たいほうりつりょう)(701)に採用された。このため古くはこの斤は唐目(とうめ)とよばれた。ただ日本では斤の呼称が商品の建値にも使われて、さまざまの大きさの斤が発生した。たとえば、薬屋が使った大和目(やまとめ)という斤は180匁、山椒(さんしょう)用は60匁、茶用は200匁、紅花(べにばな)用は100匁、実つき木綿用は600匁である。なお、明治以後120匁を斤としてパンなどに用いてきたが、これはポンドのことで、正しくは英斤とよぶべきである。

[小泉袈裟勝]

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百科事典マイペディア 「斤」の意味・わかりやすい解説

斤【きん】

尺貫法の質量の単位。1斤=160匁(もんめ)=600g。唐の度量衡にならい640年採用,701年大宝令で確定。1891年度量衡法で正確に規定されたが,尺貫法の廃止に伴い,1959年以降法定単位ではなくなった。

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単位名がわかる辞典 「斤」の解説

きん【斤】

尺貫法の質量の単位。1斤は、約600g。中国古代からの単位で、日本でも大宝令(701年)以前から使われていた。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【武器】より

…斧(ふ)は〈おの〉で,基本的に長方形をした青銅の一辺を鋭利な刃にし,反対側を厚くして木の柄に固定し,ときに袋状になっていて,ここに木を差し込んで武器とした。このとき,柄と刃が同一方向になるのが斧で,柄と刃が直角方向になるのが斤(きん)である。ただ,斧も斤も,武器として使用されたもののほか,工具や農具として使われたものもあった。…

【貫】より

…貫を質量の単位の名称とするのは日本特有のことである。その大きさは大宝令による質量の単位に対し6斤4両であり,改鋳による銭貨の目方の変動にもかかわらず,ほぼ安定に保たれていたという。91年制定の度量衡法によって貫は尺貫法における質量の基本単位となり,事実上3.75キログラム(=15/4kg)と定められた。…

【蔵人所斤】より

…鎌倉時代に用いられた重さを計る単位の一つ。律令制では唐制にならい,キビ100粒の重さを1銖と規定し,24銖を1両,16両を1斤(小斤)とし,さらに3両を大両1両とする大斤を定め,金,銀,穀などを計る場合に大斤を用い,他は小斤を用いることとした。この衡制は時代が経過するとともにみだれ,地域により,あるいは領主により,基準の異なるはかりを用いるようになった。…

【度量衡】より

… なお度量衡に対応する西欧語は,英語weights and measures,フランス語poids et mesures,ドイツ語Mass und Gewichtなどであって,質量(weights,poids,Gewicht)と長さ・体積(measures,mesures,Mass)との並列という表現になっている。
【史上の度量衡】
 中国の《書経》の後につけられた注疏(ちゆうそ)を見ると,〈度はこれ丈尺,量はこれ斛斗,衡はこれ斤両〉とあり,国の法制度としてこれらを等しくしておくのだといった説明がなされている。ここにいう丈,尺,斛(石とも書く)などは,ものごとを数量的に表現するための〈単位〉の呼名である。…

【はかり(秤)】より

…これらのはかりの精密さは同じ秤量の汎用ばかりと同程度である。天秤(てんびん)秤量法【小林 好夫】
【日本のはかり】

[古代]
 古代には物の重量を表す単位として〈斤(きん)〉が使用されることが一般であったが,〈斤〉はまた〈はかり〉を意味する場合もあった。度量衡の制は税制とも深く関係するため,国家による画一的規制は緊急の課題であった。…

【両】より

…1891年に制定された度量衡法によって尺貫法が確立される以前に用いられた質量の単位。古代中国の単位に由来し,銖‐分‐両‐斤(銖は中位の秬黍(くろきび)100粒の重さ,分=6銖,両=4分,斤=16両)の系列をなし,唐の開元通宝の目方に等しい匁に対しては1両=10匁の関係にあり,ほぼ37.3gに相当する。ただし鎌倉時代後期以降,京都では金1両は4匁5分,銀1両は4匁3分などとされた。…

※「斤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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