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日本に渡来していた漢籍の勅撰(ちょくせん)の目録。1巻。891年(寛平3)ごろの成立。藤原佐世(すけよ)撰。『日本見在書目録』『本朝見在書目録』ともいわれ、最古写本たる室生(むろう)寺本に「外典書籍(げてんしょじゃく)目録」とみえるのは、内典に対する漢籍の目録であることを示したものであろう。また撰者の名によって「佐世録」「藤原佐世注文」ともよばれる。日本の漢籍目録として最古のもの。当時の漢籍の分類目録で、各書について書名・巻数をあげ、撰者を注する。『隋書(ずいしょ)経籍志』に従って、易家から惣集(そうしゅう)家まで40部門、1579部、1万6790巻を収める。現存は抄略本のみ。『続群書類従』所収。
[林 幹彌]
『矢野玄亮著『日本国見在書目録――集証と研究』(1984・汲古書院)』
「本朝見在書目録」とも。9世紀末までに中国から日本に持ち帰られ,当時現存していた漢籍(仏典を除く)の目録。1巻。藤原佐世(すけよ)の撰。1578部1万6997巻余(数え方で多少の相異あり)の書籍を,「隋書」経籍志の体裁にならって40家にわけ,書名と巻数,ときには著者名などを記す。現存の諸本のもとになっている旧室生寺蔵本にはまれに省略があるが,漢籍の日本への舶載状況をほぼ正確に知ることができる。また中国においても「隋書」と「新・旧唐書」のそれぞれの書籍目録の中間の時期に位置するなど,書誌学上貴重な文献。古典保存会刊の複製本がある。「続群書類従」にも収めるが,誤りが多い。
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…中国における紙の発明は通説によれば2世紀初頭とされるが,その製法は日本にも7世紀初めまでには伝わっていたと考えられ,同時に漢籍や仏典も請来された。875年(貞観17),宮廷の文庫冷泉院の焼失を機に反省がおこり,中国から渡来した本を確認するため宇多天皇の命で藤原佐世(すけよ)撰述による《日本国見在書目録(にほんこくげんざいしよもくろく)》がつくられる。さらに日中文化の接触にはまず漢字書(辞書)が必要だとされ昌住による《新撰字鏡》が成立する。…
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