早川徳次(読み)はやかわとくじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「早川徳次」の意味・わかりやすい解説

早川徳次
はやかわとくじ

[生]1893.11.3. 東京
[没]1980.6.24. 大阪
経営者。家電メーカー,シャープの創業者。2歳で養子に出され,極貧のうちに育ち,学校も小学2年で退学。9歳で飾り職人丁稚となり,18歳で独立。その金属細工の技術をいかし,1915年に開発・製造した早川式繰出鉛筆(→シャープペンシル)で事業の基礎を固めたが,1923年の関東大震災に被災し,工場壊滅妻子を失った。1924年大阪に移り早川金属工業研究所を設立,金属加工のかたわらラジオの研究に従事し,1925年のラジオ放送開始に合わせ小型鉱石ラジオを発売し好評を得る。第2次世界大戦後の 1951年にはテレビ受像機(→テレビジョン)の試作に成功,1953年の放映開始に合わせ量産化を始めた。さらに 1959年には洗濯機や冷蔵庫など家電製品を製造する総合電化工場を設立し,今日の基礎を築いた。また,1962年には電子レンジ,1963年には太陽電池,1964年には世界初のオールトランジスタの電子式卓上計算機と,独創的な商品の開発でも実績を上げた。貧しかった幼少期の苦労と震災で妻子を失った体験から,第2次世界大戦中には傷痍軍人のための工場を設立し,社長を退任し会長となった 1970年には障害者が働くことができる工場を設立するなど,福祉活動に力を注いだ。

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20世紀日本人名事典 「早川徳次」の解説

早川 徳次
ハヤカワ トクジ

大正・昭和期の実業家 シャープ会長。



生年
明治26(1893)年11月13日

没年
昭和55(1980)年6月24日

出生地
東京市日本橋区久松町(現・東京都中央区)

学歴〔年〕
小学校中退

主な受賞名〔年〕
藍綬褒章〔昭和35年〕,勲三等瑞宝章〔昭和40年〕,大阪文化賞〔昭和46年〕

経歴
東京の金属細工屋ででっち奉公のあと大正元年に独立、バンドの留め金特許を得、4年にはシャープペンシルを発明して発売、アメリカの特許も取得して事業の基礎を固める。しかし、12年の関東大震災で工場は壊滅、13年大阪に移って早川金属研究所を設立、14年ラジオ受信機の製造を始めた。昭和17年に早川電機工業と社名を変更、26年には国産第1号のテレビ受像機を完成させ、45年にシャープと社名を改めると同時に社長から会長に就任。その後は身障者の雇用増進など社会福祉事業に力を尽くした。


早川 徳次
ハヤカワ トクジ

大正・昭和期の実業家 東京地下鉄道社長。



生年
明治14(1881)年10月14日

没年
昭和17(1942)年11月29日

出生地
山梨県

学歴〔年〕
早稲田大学法科〔明治41年〕卒

経歴
雑誌「太平洋」、佐野鉄道を経て、明治45年高野登山鉄道支配人となった。大正3年辞任、大隈重信に紹介されて鉄道院嘱託となり、2年間ロンドンに地下鉄の研究に赴任。帰国後の6年東京軽便地下鉄道の名で地下鉄敷設免許を申請、8年許可され、9年東京地下鉄道株式会社を創設、常務。13年専務。昭和2年日本最初の地下鉄・上野―浅草間を開通、9年には新橋―浅草間を全通させた。後社長となったが、渋谷―新橋間(東京高速鉄道)の五島慶太との経営権抗争に敗れ、15年社長を辞任した。わが国地下鉄の先駆者。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「早川徳次」の解説

早川徳次(2) はやかわ-とくじ

1893-1980 大正-昭和時代の実業家。
明治26年11月3日生まれ。大正4年独創的なシャープペンシルを開発して発売。13年大阪に早川金属工業研究所(現シャープ)を設立し,ラジオを製造。戦後は他に先がけてテレビの製造に着手。昭和39年世界初の電子式卓上計算機を開発した。昭和55年6月24日死去。86歳。東京出身。
【格言など】まねされる商品をつくれ(信条)

早川徳次(1) はやかわ-とくじ

1881-1942 大正-昭和時代前期の実業家。
明治14年10月15日生まれ。根津嘉一郎(かいちろう)にみとめられ,高野登山鉄道支配人となる。欧米を視察して大正9年東京地下鉄道を創立。昭和2年上野-浅草間,9年上野-新橋間を開通させた。15年東京高速鉄道(渋谷-新橋間)の五島慶太との経営権争いに敗れて退陣。昭和17年11月29日死去。62歳。山梨県出身。早大卒。

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367日誕生日大事典 「早川徳次」の解説

早川 徳次 (はやかわ とくじ)

生年月日:1881年10月15日
大正時代;昭和時代の実業家。東京地下鉄道社長
1942年没

早川 徳次 (はやかわ とくじ)

生年月日:1893年11月3日
大正時代;昭和時代の実業家。シャープ会長
1980年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の早川徳次の言及

【シャープペンシル】より

…当初は〈繰出鉛筆〉と呼ばれて,手工業生産であったが,大正期に機械生産へと移る。その時の製造業者のひとりに早川徳次(電気機械会社シャープの創始者)があげられる。1915年に売り出された〈スクリュウペンシル〉〈プロペラペンシル〉が翌年〈エバレディシャープペンシル〉と改称され,以後日本ではシャープペンシルが総称となる(英語ではメカニカル・ペンシル)。…

※「早川徳次」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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