中世・近世において法令を意味する語。戦国時代に、肥後(熊本県)相良(さがら)家にみられるように、分国法典を何々法度とよぶものがあったが、江戸幕府が禁中並公家諸法度(きんちゅうならびにくげしょはっと)(禁中并公家中諸法度)、武家諸法度という法令を制定してより、法令、ことに基本的な法令を法度とよぶことが行われるようになった。武家諸法度のように重要なものは、老中が将軍の裁許を経て制定した。普通の法令は法度の名を帯びることなく、庶民に触れられるものは触書(ふれがき)、奉行(ぶぎょう)などの役人に対するものは達(たっし)の形式で発せられた。何々法度とよばれるもののなかには、のちに付名したものもあるから、注意しなければならない。たとえば、諸士法度とよばれるものは「条々」として制定されたもので、後人がこれに「諸士法度」という名称を与えたのである。
[石井良助]
法も度も〈のり〉(法則,規則)の意で,おきて,さだめ,法を意味する言葉。鎌倉幕府はもちろんのこと室町幕府も戦国時代に至るまで,みずからの制定法を〈法度〉と称した例はない。もちろん〈法度〉という言葉自体は中世を通じて使用されているが,この場合も公権力の制定法をさすのではなく,〈おきて〉〈さだめ〉などの意で用いられている。この〈法度〉が公権力の制定法をさす称呼として一般的に現れるのは,戦国大名の個別法令である分国法においてであり,やがてこれが江戸幕府にも継承され,武家諸法度のように制定法の名称として定着した。この法度と称された法は,禁法・禁令的性格が強かったためか,その後,法度という語には禁制を意味する用例がみられ,江戸時代には一般的用語として禁止,さらには刑罰を意味する語としても使用されるに至った。
執筆者:勝俣 鎮夫
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