(読み)レイ

デジタル大辞泉 「令」の意味・読み・例文・類語

れい【令】[漢字項目]

[音]レイ(漢) リョウ(リャウ)(呉) [訓]しむ せしむ
学習漢字]4年
〈レイ〉
言いつける。命ずる。言いつけ。お達し。「令状禁令訓令号令司令指令辞令勅令伝令発令布令ふれい命令
おきて。のり。「条令法令
長官。「県令
よい。りっぱな。めでたい。「令月令辰令徳令聞令望令名
相手の親族に対する敬称。「令兄令嬢令息令夫人
〈リョウ〉
言いつけ。「令旨りょうじ
おきて。「令外りょうげ律令
[名のり]おさ・なり・のり・はる・よし
難読御布令おふれ令史さかん仮令たとい・たとえ縦令たとい・たとえ

れい【令】

命令布告。また、法令。「を下す」「解放
古代中国の官制で、地方長官。特に、郡県制における県の長官。
明治初期、府・県の長官。知事の旧称。
鎌倉時代政所まんどころの次官。
律令制で、京の四坊ごとに置かれた責任者。坊令。
りょう(令)
[類語]命令言い付けめい指令下命指示指図さしず号令発令沙汰さた主命君命上意達し威令厳令厳命

りょう〔リヤウ〕【令】

古代、中国を中心とする東アジア諸国の法典。とともに国家の基本法典で、のちの行政法訴訟法民法などにあたるすべての規定を含む。日本では飛鳥浄御原きよみはら令・大宝令養老令などが順次に制定された。実際に全国的に実施されたのは大宝令。→律令

りょう【令/霊】[漢字項目]

〈令〉⇒れい
〈霊〉⇒れい

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精選版 日本国語大辞典 「令」の意味・読み・例文・類語

れい【令】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. おおせ。命令。ふれ。布告。また、法令・条令。
      1. [初出の実例]「月夜翫桜花、各分一字、応令一首」(出典菅家文草(900頃)五)
      2. 「此外は一々に不言とも此の令に比してせよぞ」(出典:史記抄(1477)八)
      3. [その他の文献]〔書経‐冏命〕
    2. 古代の中国で、一地方の長官。特に郡県制で郡の長官を太守と呼ぶのに対して県の長官をいう。県令。〔呂氏春秋‐孟春紀・去私〕
    3. 令制で京の左京・右京の四つの坊を統括する職。その地の有力者を任命する。坊令。条令。〔令義解(718)〕
    4. 令制で、一品(いっぽん)以下四品(しほん)までの親王の家および三位以上の公卿(くぎょう)の家に、家務を総括する者として置かれる職員。家令(かれい)。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
    5. 奈良時代、平準署の長官。平準令。
    6. 鎌倉時代、将軍家の政所(まんどころ)の職員。別当を補佐した。
      1. [初出の実例]「家司別当 前因幡守中原朝臣広元 前下総守源朝臣邦業、令 民部少烝藤原朝臣行政」(出典:吾妻鏡‐建久三年(1192)八月五日)
    7. 明治四年(一八七一)から同一九年までの府・県の長官。知事の旧称。県令。
      1. [初出の実例]「府県にては重役の事を知事、令(レイ)といひ」(出典:開化問答(1874‐75)〈小川為治〉二)
    8. 時候。時令。月令。
      1. [初出の実例]「推歩四時令不違、初開六出報重闈」(出典:菅家文草(900頃)五・十月廿一日禁中初雪)
    9. りょう(令)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 ( 立派であるの意から ) 他人を敬って、その家族を表わす語の上に付ける。「令兄」「令嬢」「令夫人」など。

りょうリャウ【令】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一般に公布した規程・法令。きまり。おきて。
  3. 古代の東アジア諸国の法典。すべきことをあげる教令法規。律とともに隋・唐で大成し、周辺諸国に波及した。日本では、唐令を範とし日本の国情を考慮して作られ、そのはじめは近江令であるともいわれるが確かなのは持統三年(六八九)の飛鳥浄御原律令である。大宝元年(七〇一大宝律令として大成し、これを改定して養老律令が養老二年(七一八)に成立した。伝存するものはこれである。
    1. [初出の実例]「若有令者、即准其犯、依律科断」(出典:続日本紀‐和銅五年(712)五月乙酉)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「令」の意味・わかりやすい解説


りょう

唐令を母法とする日本の古代法典の一つ。刑法以外の国家組織の基本的な諸制度である行政法,訴訟法,民法,商法などに相当するものを網羅的に規定したもの。大化改新後の天智7 (668) 年藤原鎌足を総裁としてつくられた『近江令』 (22巻) が最初で,その後,天武9 (680) 年修正され,持統3 (689) 年に『浄御原令』 (22巻) が施行された (→飛鳥浄御原律令 ) 。次いで文武天皇の大宝1 (701) 年『浄御原令』を改定して『大宝令』 (11巻) が藤原不比等らによって施行され (→大宝律令 ) ,さらに養老2 (718) 年修正され,天平宝字1 (757) 年『養老令』が施行された (→養老律令 ) 。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「令」の解説


りょう

律と並ぶ律令国家の基本法典。「令は勧誡を以て本となす」とのべられたように,令の基本的性格は教令法とされ,「懲粛を以て宗となす」処罰法としての律と対をなす関係にある。内容は国制を規定する行政法的なものから,訴訟法・民法・商法的なもの,そして官吏の服務規定など広範な法規定を含む。令は本来中国の漢王朝以来独自な発展をとげた法典であったが,日本の古代国家は7世紀後半以降おもに唐代の令をもとに,日本社会の実情にあわせるための改変を加えるなどして日本令を編纂。近江令・浄御原(きよみはら)令・大宝令・養老令の編纂が伝えられるほか,養老令の刪定(さんてい)が2度行われたことが知られる。なお近江令の存否や性格については論争がある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「令」の解説


りょう

律令国家の基本法典
律に対して,行政法・民法・商法などにあたる。唐にならって,近江令・飛鳥浄御原 (あすかきよみはら) 令・大宝令・養老令などがつくられた。

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百科事典マイペディア 「令」の意味・わかりやすい解説

令【りょう】

律令

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「令」の意味・わかりやすい解説


りょう

律令格式

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【会典】より

…中国の法典は大別して刑法典と行政法典の二つとすることができる。刑法典はすなわち〈律〉であり,行政法典はすなわち〈令〉と〈会典〉(《六典》をも含む)である。唐の開元年間(713‐741)に編纂された《六典》は,各官庁ごとに関係の諸法規(律令格式および勅など)を集めたもので,主として吏部・戸部・礼部・兵部・刑部・工部の六部の下にこれを分載した。…

【中国法】より

…漢に入って秦の失敗にかんがみて,儒家がさらに勢力を伸ばし,立法裁判に儒教主義を加味すべきを唱え,法家と儒家の勢力争いがたびたび起こった。漢代には律のほかに,補助的な任務をもつ令も制定されたが,この律令は時代とともに変遷し,儒教思想を含むことが多くなった。この傾向は前漢の末から,後漢にかけてとくに著しく現れた。…

【律令格式】より


【中国】
 律・令・格・式なる4種の法典は歴代の政府が発布した六法全書のごときもので,古くは戦国時代に淵源し,唐代に至って最も完備されたが,宋以後変化が起こり,あるいはその重要性を失って新出の法典に座を譲り,あるいは形式名称を変えて旧面目を失うものが多いなかに,ただ律は明代に復興して大明律となり,さらに大清律となって清朝末期にいたった。 現今目睹しうる最古の刑法である律は秦律であり,1975年湖北省雲夢県の睡虎地で秦代の墓から1000余枚の竹簡を発見した中に,占卜書2種を除くほかはおおむね政治,法律に関する文書であり,数種類の秦律が含まれていることがわかった(睡虎地秦墓)。…

【会典】より

…中国の法典は大別して刑法典と行政法典の二つとすることができる。刑法典はすなわち〈律〉であり,行政法典はすなわち〈令〉と〈会典〉(《六典》をも含む)である。唐の開元年間(713‐741)に編纂された《六典》は,各官庁ごとに関係の諸法規(律令格式および勅など)を集めたもので,主として吏部・戸部・礼部・兵部・刑部・工部の六部の下にこれを分載した。…

【中国法】より

…漢に入って秦の失敗にかんがみて,儒家がさらに勢力を伸ばし,立法裁判に儒教主義を加味すべきを唱え,法家と儒家の勢力争いがたびたび起こった。漢代には律のほかに,補助的な任務をもつ令も制定されたが,この律令は時代とともに変遷し,儒教思想を含むことが多くなった。この傾向は前漢の末から,後漢にかけてとくに著しく現れた。…

【律令格式】より


【中国】
 律・令・格・式なる4種の法典は歴代の政府が発布した六法全書のごときもので,古くは戦国時代に淵源し,唐代に至って最も完備されたが,宋以後変化が起こり,あるいはその重要性を失って新出の法典に座を譲り,あるいは形式名称を変えて旧面目を失うものが多いなかに,ただ律は明代に復興して大明律となり,さらに大清律となって清朝末期にいたった。 現今目睹しうる最古の刑法である律は秦律であり,1975年湖北省雲夢県の睡虎地で秦代の墓から1000余枚の竹簡を発見した中に,占卜書2種を除くほかはおおむね政治,法律に関する文書であり,数種類の秦律が含まれていることがわかった(睡虎地秦墓)。…

【県】より

…県の人口は唐では下県が1000戸以下だったが,元代江南では1万戸が中と下の境界線で,40km平方が普通である。長官は唐までは令,丞,尉。宋以後は知県,主簿,県尉とよぶ。…

※「令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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