春鶯囀(読み)シュンノウデン

デジタル大辞泉 「春鶯囀」の意味・読み・例文・類語

しゅんのうでん〔シユンアウデン〕【春鶯囀】

《「しゅんおうでん」の連声れんじょう雅楽唐楽壱越いちこつ調大曲六人または四人舞。高宗ウグイスの声を模して作らせたという。天長宝寿楽。天寿楽

しゅんおうでん〔シユンアウデン〕【春鶯囀】

しゅんのうでん(春鶯囀)

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精選版 日本国語大辞典 「春鶯囀」の意味・読み・例文・類語

しゅんのうでんシュンアウデン【春鶯囀】

  1. ( 「しゅんおうでん」の連声 )
  2. [ 一 ] 雅楽の曲名。左方。新楽。壱越(いちこつ)調の大曲。唐の高宗の時、勅命により楽工白明達がウグイスの声を模して作ったという。常装束にこの曲用の甲(かぶと)をかぶり、六人または四人で舞う。天長宝寿楽。梅花春鶯囀。天寿楽。和風長寿楽。番舞(つがいまい)として退宿徳、新鳥蘇、古鳥蘇がある。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
    1. 春鶯囀<b>[ 一 ]</b>〈舞楽図〉
      春鶯囀[ 一 ]舞楽図〉
  3. [ 二 ] 朝鮮旧李王家の舞楽曲名。宮中宴礼用の法舞。官妓の一人舞。宋代に中国から伝来したのを模したもの。

しゅんおうでんシュンアウデン【春鶯囀】

  1. しゅんのうでん(春鶯囀)

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改訂新版 世界大百科事典 「春鶯囀」の意味・わかりやすい解説

春鶯囀 (しゅんのうでん)

雅楽,管絃,舞楽の曲名。唐楽にふくまれ壱越(いちこつ)調。6人(あるいは4人)舞の文ノ舞(平舞)。唐楽の四箇(しか)の大曲(《皇麞(おうじよう)》《春鶯囀》《蘇合香(そごうこう)》《万秋楽》)の一つ。別名を《天長宝寿楽》《天長楽》《長寿楽》《宝寿楽》などという。番舞(つがいまい)は《退走禿(たいそうとく)》。古くは女性10人が舞ったとされるが,近代は男性が舞う。左方襲(常)装束の袍(ほう)の両肩をぬぎ,下に着ている半臂はんぴ)を見せ,この曲用の別甲(べつかぶと)をかぶる。唐の太宗,あるいは高宗のとき,立太子礼の祭典中に鶯が飛んできて美しくさえずり,これを祝福した。王は喜び,さっそく楽人にこの曲を作らせたという。めでたい曲として日本でも立太子礼に奏されてきた。最近では1953年(昭和28)の立太子礼に演奏されている。演奏次第は,壱越調調子音取(ねとり)-遊声(ゆうせい)(無拍節,舞人登場,出手(ずるて))-序(無拍節,当曲舞のうち一の舞)-颯踏(さつとう)(早八拍子,二の舞)-入破(じゆは)(早六拍子,三の舞)-鳥声(てつしよう)(無拍節,入手(いるて)の前半)-急声(きつしよう)(早六拍子,入手の後半)-調子・入調(にゆうぢよう)(退場)。非常に楽章数の多い曲で,全曲を通して演奏すると約2時間かかる。なお,遊声,颯踏,入破の楽章は吹流しという独特の終止方法(三管が最後の音を延ばしたまま終わる)が用いられる。管絃曲としては,颯踏と入破が奏され,渡物として双調にやはり颯踏と入破がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春鶯囀」の意味・わかりやすい解説

春鶯囀
しゅんのうでん

雅楽の曲名。「天長宝寿楽」「和風(かふう)長寿楽」ともいう。雅楽の唐楽曲で、『皇麞(おうじょう)』『万秋楽(まんじゅうらく)』『蘇合香(そこう)』とともに「四箇大曲(しかのたいきょく)」として重んじられている。4人あるいは6人の舞を伴う舞楽で、壱越調(いちこつちょう)。唐の太宗、または音曲に通じた高宗の作という。遊声(ゆうせい)、序、颯踏(さっとう)、入破(じゅは)、鳥声(てっしょう)、急声(きっしょう)の6章からなる大曲で、颯踏にはこの曲にのみ固有の「肩指手(かたさして)」という、両手を肩につける舞手がある。番舞(つがいまい)は『退走禿(たいそうとく)』。

 奈良・興福寺の僧円憲得業は雅楽の名手であったが、春の朝、浄明院という僧房でこの曲を吹くと、ウグイスが寄ってきて笛と同じ音でさえずったといい、平安初期の雅楽家尾張浜主(おわりのはまぬし)が113歳の高齢で当曲を美しく舞ったとも伝える。『枕草子(まくらのそうし)』には「調べは風香調(ふうこうちょう)。黄鐘(おうしき)調。蘇合(そごう)の急。鶯(うぐいす)のさへづりという調べも」(201段)とある。

[橋本曜子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春鶯囀」の意味・わかりやすい解説

春鶯囀
しゅんのうでん

日本の雅楽の曲名。唐楽,壱越 (〈いちこつ〉。主音ニ) の曲,『天長宝寿楽』『和風長寿楽』などの異名があった。唐の太宗の作とも,唐の高宗がうぐいすの声を聞いて白明達という者に命じてその声をまねて作らせたともいわれる。承和 12 (845) 年尾張浜主が 113歳の高齢でこの曲を舞ったのは有名。曲は「遊声」「序」「颯踏」「入破 (じゅは) 」「鳥声 (てっしょう) 」「急声 (きっしょう) 」の6楽章から成る大規模な曲で,舞いがあり,4人あるいは6人で舞われる。6楽章全部を演奏する場合には「春鶯囀一具」という。「颯踏」と「入破」だけを独立して舞ったり,器楽だけで演奏することもある。なお朝鮮の雅楽に同名の曲があるが,音楽も舞いも日本のものと全然別種で1人で舞う。

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百科事典マイペディア 「春鶯囀」の意味・わかりやすい解説

春鶯囀【しゅんのうでん】

雅楽の舞楽の曲名。音楽は壱越(いちこつ)調の唐楽で,四大曲の一つ。曲は遊声(ゆせい),序,颯踏(さっとう),入破(じゅは),鳥声(てっしょう),急声(きっしょう)の6部分からなる。舞は襲(かさね)装束と金色の甲(かぶと)をつけて舞うもので,6人で舞うのが本来だが,略式では4人にすることもある。

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