二の舞(読み)ニノマイ

デジタル大辞泉 「二の舞」の意味・読み・例文・類語

に‐の‐まい〔‐まひ〕【二の舞】

雅楽唐楽壱越いちこつ調古楽中曲。舞は二人。「安摩あま」に引き続いて、それを見ていた咲面えみめん老爺腫面はれめん老婆が、安摩の舞をまねてこっけいに舞う。「安摩」の答舞
人のあとに出てそのまねをすること。特に、人のした失敗を繰り返すこと。「前任者二の舞を演ずる」「二の舞を踏む」
[類語]懲りずまにまたぞろ性懲しょうこりもないてつを踏む前車のてつを踏むてつを踏む改めてまたしてもまたまたたびたび何度よくしばしばちょくちょく往往ちょいちょいしきりしょっちゅう幾度頻繁頻頻しげしげ足繁くあまたたび再びまた重ねて再度再三再三再四再再又もまたもやくれぐれくれぐれも返す返すよくよくとくととっくり重重重ね重ね幾重にも念入り二度と二度と再びくどくどうだうだぐだぐだくだくだたらたらああだこうだ四の五の四の五の言う

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改訂新版 世界大百科事典 「二の舞」の意味・わかりやすい解説

二ノ舞 (にのまい)

雅楽・舞楽曲名。唐楽の壱越(いちこつ)調。二人舞で文(ぶん)ノ舞(平舞)。《安摩(あま)》に続いて舞う。番舞(つがいまい)は《蘇利古(そりこ)》。上位の舞人は左方襲(かさね)装束(袍なし)に咲(えみ)面(老爺の笑った面)をつけ,牟子(むし)(帽子のようなもの)に篠竹をはさみ,下位の舞人は右方襲(かさね)装束に腫(はれ)面(老婆のはれただれた面)をつけ,腰に下笹をはさんで舞う。《安摩》を舞っている間に《二ノ舞》の舞人は舞台の下に出て舞を見ている。《安摩》の舞人が舞い終わって降台するとき,《二ノ舞》の舞人とすれ違う。このとき《安摩》の舞人の持っている笏(しやく)を渡してほしいと頼むが断られる。《二ノ舞》の舞人は舞台に上がり,《安摩》の舞をまねて舞うがうまくいかない。このことから,前の人のまねをして失敗することを〈二の舞を踏む〉という。笛と打楽器のみで伴奏され,演奏次第は,乱序(登場)-詠(えい)(舞伴奏,当曲舞)-囀(さえずり)(無伴奏)-乱序。退場奏楽なし。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二の舞」の意味・わかりやすい解説

二ノ舞
にのまい

安摩

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世界大百科事典(旧版)内の二の舞の言及

【安摩】より

…左方襲(かさね)装束(常装束とも)に巻纓(けんえい)・緌(おいかけ)の冠,雑面(ぞうめん)をつけ,右手に笏(しやく)を持って舞う。《安摩》だけ独立して舞われることはほとんどなく,《二ノ舞》と続けて舞われ,《二ノ舞》は《安摩》の答舞の型となっている。天平のころ,林邑(今のベトナム)の僧仏哲が伝えたものを,承和年間(834‐848)に大戸清上が改作したといわれる。…

【もどき】より

…芸能では主役のまねをしたり,からかったりする道化の性格をもつ役や曲をいう。たとえば御神楽(みかぐら)の人長(にんぢよう)と才男(さいのお),能の《》と《三番叟》を,神ともどきの関係としてみることができるし,舞楽の《二ノ舞》は,《安摩(あま)》の答舞の形をとって《安摩》をまねて舞われるが,これは《安摩》に対するもどきである。民俗芸能では,長野県下伊那郡阿南町新野(にいの)の雪祭に登場する〈さいほう〉という神の後に〈もどき〉という面役が〈さいほう〉の所作をおもしろおかしく演じてみせ,静岡県磐田郡水窪(みさくぼ)町の西浦(にしうれ)田楽では,《地固め》《つるぎ》《高足(たかあし)》など庭清めの演目に〈もどきの手〉があり,繰り返し前曲を演じる。…

※「二の舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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