(読み)チ

デジタル大辞泉 「智」の意味・読み・例文・類語

ち【智】[漢字項目]

人名用漢字] [音]チ(呉)(漢)
物事をよく理解する。賢い。「智愚智者
物事を理解する能力。「智慧ちえ智能叡智えいち奸智かんち才智明智
[補説]「」と通用する。
[名のり]あきら・さかし・さと・さとし・さとる・とし・とみ・とも・のり・まさる・もと
難読智利チリ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「智」の意味・読み・例文・類語

ち【智】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物事の道理を理解し、是非・善悪を判断する能力。知恵。智慧。知力。知。
    1. [初出の実例]「開仁対山路、猟智賞河津」(出典:懐風藻(751)奉和藤太政佳野之作〈葛井広成〉)
    2. 「我が智をとり出でて人に争ふは、角あるものの角をかたぶけ、牙(きば)あるものの牙をかみ出だすたぐひなり」(出典:徒然草(1331頃)一六七)
    3. 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉一)
    4. [その他の文献]〔孟子‐公孫丑・上〕
  3. はかりごとをめぐらすこと。〔戦国策‐楚策・懐王〕
  4. ( [梵語] jñāna の訳語 ) 仏語。一切の事象や道理に対して的確な判断を下し、心中の惑いを絶つはたらき。慧(え)([梵語] prajñā の訳語)と合して智慧ともいう。そのはたらきの上から、二智、三智、四智など、種々の智が説かれる。
    1. [初出の実例]「喩ひ智有れども若し禅定无(な)ければ、其の心閑まらずして」(出典:観智院本三宝絵(984)上)

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普及版 字通 「智」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 12画

[字音]
[字訓] ちえ・さとい

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
字の初形は矢(し)+干(かん)+口。矢と干(盾)とは誓約のときに用いる聖器。口は(さい)その誓約を収めた器。曰(えつ)は中にその誓約があることを示す形。その誓約を明らかにし、これに従うことを智という。知に対して名詞的な語である。〔説文〕五下に「知は詞なり」、〔玉〕に「知は(し)るなり」とあり、智には〔説文〕四上に「る詞なり」とするが、詞の意が明らかでない。また字を白部に属するのも誤りである。〔墨子〕に知と通用し、「智る」のように用いている例が多い。

[訓義]
1. ちえ、ちしき。
2. しる、さとる、さとい、さかしい、さとし。
3. はかりごと。

[古辞書の訓]
名義抄〕智 サトシ・サトル・サカシ・トシ・トモ〔字鏡集〕智 サトシ・トモ・サカシ・サトル・シル・ヒトトナル

[声系]
〔説文〕に智声として四字を収めるが、ほとんど用例のない字である。

[語系]
智・知tieは同声。知は動詞的な語である。語彙は知字条参照。

[熟語]
・智意智睿・智智鑒・智器・智偽・智局・智愚・智計・智慧・智計智恵智譎・智故・智巧・智策・智算・智士・智思智識・智者・智術・智将智燭智臣・智刃・智数・智性・智・智達・智通・智度智徳・智能・智・智弁・智謀・智勇・智略・智慮・智量・智力
[下接語]
叡智・奸智・姦智・奇智・棄智・機智・矜智・愚智・慧智・賢智・故智・巧智・狡智・才智・術智・上智・飾智・神智・仁智・世智・聖智・積智・浅智・多智・大智・頓智・任智・凡智・妙智・無智・明智・用智・理智・礼智

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【知恵】より

…知恵は現実のさまざまな現象を識別するとともに,それを統合して理解するはたらきであるために,現実の感覚的なはたらきを超えて,全体を把握する超越的な意味も含んでいる。仏教では知恵をものごとの識別に使われる智(ジュニャーナjñāna)と,統合的で識別的な機能を超える般若の智慧(プラジュニャーprajñā)とに分けて考えた。また,先天的に備わっている生得慧,他人の教えから得られる聞所成慧,内的思索によって得られる思所成慧,修行の実践の中で得られる修所成慧の4種類に分類している。…

※「智」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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