八条宮(後の京極宮,桂宮)初代。正親町天皇皇子誠仁親王の王子。幼少のとき豊臣秀吉の猶子となったが,1590年(天正18)秀吉の奏請により一家を起こして八条宮と称し,翌年親王宣下をうけた。桂離宮は,親王が桂村に営んだ別荘に由来する。
執筆者:武部 敏夫 文学活動として特筆すべきは,1600年(慶長5)細川幽斎から受けた古今伝授を1625年(寛永2)後水尾院に相伝したことで,これが御所伝授となって,以後近世堂上和歌はその基盤をここに得る。親王は漢籍仏書を五山の僧碩徳などを召して学び,好学の後水尾院の宮廷にあって,みずからも禁中の学問講において講義し,また陪席した。《万葉集》や勅撰集の抜書きを行い,和歌名所の名寄を著した。自筆の詠草類,日記が伝存する。また書にも優れた。
執筆者:柳瀬 万里
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(相馬万里子)
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…ところが,三条西実隆の孫実枝は,その子公国と年齢が離れていたため,細川藤孝(幽斎)に古今伝受を相伝した。幽斎は三条西家の秘伝のほかに,近衛家の秘伝や堺伝受をも併せ,八条宮智仁(としひと)親王に伝えた。智仁親王はこれを後水尾天皇に相伝し,以後,いわゆる〈御所伝受〉となり,宮中を中心に継承されてゆく。…
※「智仁親王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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