智仁親王(読み)トシヒトシンノウ

デジタル大辞泉 「智仁親王」の意味・読み・例文・類語

としひと‐しんのう〔‐シンワウ〕【智仁親王】

[1579~1629]江戸初期の親王正親町おおぎまち天皇の皇子誠仁親王の子。桂離宮造営で知られる。和歌にすぐれ、細川幽斎から古今伝授を受けた。八条宮

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「智仁親王」の意味・読み・例文・類語

としひと‐しんのう‥シンワウ【智仁親王】

  1. 四親王家一つである桂宮家の祖。正親町天皇の皇子誠仁親王の御子豊臣秀吉猶子となり、のち八条宮と称せられた。桂離宮を造営。和歌に精通し、細川幽斎より古今伝授を受けている。天正七~寛永六年(一五七九‐一六二九

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「智仁親王」の意味・わかりやすい解説

智仁親王 (としひとしんのう)
生没年:1579-1629(天正7-寛永6)

八条宮(後の京極宮,桂宮)初代。正親町天皇皇子誠仁親王の王子。幼少のとき豊臣秀吉の猶子となったが,1590年(天正18)秀吉の奏請により一家を起こして八条宮と称し,翌年親王宣下をうけた。桂離宮は,親王が桂村に営んだ別荘に由来する。
執筆者: 文学活動として特筆すべきは,1600年(慶長5)細川幽斎から受けた古今伝授を1625年(寛永2)後水尾院に相伝したことで,これが御所伝授となって,以後近世堂上和歌はその基盤をここに得る。親王は漢籍仏書を五山の僧碩徳などを召して学び,好学の後水尾院の宮廷にあって,みずからも禁中の学問講において講義し,また陪席した。《万葉集》や勅撰集の抜書きを行い,和歌名所の名寄を著した。自筆の詠草類,日記が伝存する。また書にも優れた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「智仁親王」の解説

智仁親王 としひとしんのう

1579-1629 織豊-江戸時代前期,誠仁(さねひと)親王の第6王子。後陽成天皇の弟。
天正(てんしょう)7年1月8日生まれ。豊臣秀吉養子となるが,淀殿鶴松(つるまつ)が生まれたため解消,天正18年八条宮(のち桂宮)家を創立。19年親王となり式部卿細川幽斎(ゆうさい)より古今伝授をうけて後水尾(ごみずのお)天皇につたえる。桂離宮の造営にあたった。寛永6年4月7日死去。51歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「智仁親王」の解説

智仁親王

没年:寛永6.4.7(1629.5.29)
生年:天正7.1.8(1579.2.3)
安土桃山・江戸初期の皇族。四親王家のひとつ桂宮の初代。誠仁親王(陽光院)の第6皇子。母は新上東門院。後陽成天皇の弟に当たる。法号桂光院。はじめ豊臣秀吉の猶子となるが,秀吉に鶴松が誕生したため宮家を創立,八条宮と称した。天正19(1591)年親王宣下を受け,元服,式部卿に任ぜられ,慶長6(1601)年一品に叙せられた。若年より和歌・連歌を好み,文禄5(1596)年『伊勢物語』などの講釈を細川幽斎より受け,師事する。和歌の批点を受け,二条家系の歌学を学んだ。慶長5(1600)年,石田三成方の軍勢に囲まれ丹後田辺城(京都府)に籠城の幽斎より,古今伝授を受けた話は著名。寛永2(1625)年後水尾天皇に古今伝授を授け,近世初期の宮廷社会に継承される御所伝授の基となった。自亭でしばしば和歌や連歌の会を催し,また和歌などの古典作品の集書や新写も熱心に行った。親王の筆による写本や自筆の詠草が数多く現存する。現在,日本建築美の代表とされる桂離宮は,親王が元和初期(1615~16)に創設した別邸で,2代智忠親王によって完成された。

(相馬万里子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

367日誕生日大事典 「智仁親王」の解説

智仁親王 (としひとしんのう)

生年月日:1579年1月8日
安土桃山時代;江戸時代前期の皇族
1629年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の智仁親王の言及

【古今伝受(古今伝授)】より

…ところが,三条西実隆の孫実枝は,その子公国と年齢が離れていたため,細川藤孝(幽斎)に古今伝受を相伝した。幽斎は三条西家の秘伝のほかに,近衛家の秘伝や堺伝受をも併せ,八条宮智仁(としひと)親王に伝えた。智仁親王はこれを後水尾天皇に相伝し,以後,いわゆる〈御所伝受〉となり,宮中を中心に継承されてゆく。…

※「智仁親王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android