精選版 日本国語大辞典 「書下」の意味・読み・例文・類語
かき‐くだし【書下】
- 〘 名詞 〙
- ① 書きくだすこと。また、書きくだした文章。
- [初出の実例]「朕深く之を嘉し有司に命じて云々せしむと云った風な漢文書下し調で認めてあり」(出典:欧米曼陀羅雑記 へへののもへじ(1928)〈石川光春〉八四)
- ② 中世、武家様文書の呼称の一つ。奉書形式でなく、差し出し者自身が署判する直状(じきじょう)形式のもので、年月日を書き、書き止め文言が「状如件」となる。一般的には守護以下の武士が、自己の管内に命令を伝えるために発給するものをさし、守護領国制の発展に従って、領国支配のための文書形式として、重要度を増した。書下状(かきくだしじょう)。書下文(かきくだしぶみ)。〔吾妻鏡‐寛元元年(1243)八月二六日〕
かき‐おろし【書下】
- 〘 名詞 〙 新しく書くこと。また、新しく書いた作品。既に雑誌、新聞などに掲載した作品の再録に対して、初めから単行本として発表した論文、小説の類や、直接上演された脚本をいう。
- [初出の実例]「いたづらのかきおろし、はやいうがちはしんざうならぬ、としま町の大出来」(出典:評判記・嗚久者評判記(1865))
- 「放送局の小林氏来り、十六日は書き卸しをといふ注文」(出典:古川ロッパ日記‐昭和一一年(1936)六月四日)