曼陀羅寺(読み)まんだらじ

精選版 日本国語大辞典 「曼陀羅寺」の意味・読み・例文・類語

まんだら‐じ【曼陀羅寺】

  1. 愛知県江南市にある西山浄土宗の寺。山号は日輪山。元徳元年(一三二九)天真乗運が開創。はじめ円福寺と称したが寛正三年(一四六二)改称。後醍醐・後奈良両天皇の勅願寺で、関ケ原戦いのとき東軍が軍議を開いた。のち檀林として学徒を養成

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日本歴史地名大系 「曼陀羅寺」の解説

曼陀羅寺
まんだらじ

[現在地名]新湊市立町

放生山と号し、浄土宗。本尊釈迦如来。もとは放生津ほうじようづ八幡宮裏のひがし浜にあったが、宝暦四年(一七五四)現在地に移ったという(「替地許可状」寺蔵文書)。寺域は一千二三七歩(「総絵図並歩数等書写」柴屋文書)。貞享二年寺社由緒書上は文明五年(一四七三)則阿の開山とするが、「蓮門精舎旧詞」には永仁二年(一二九四)春に海中から法華二十八品曼陀羅が出現したことにちなんで一宇建立し、曼陀羅堂と称したのに始まるとあり、文明元年に則阿良休が長野善光寺参詣のおりに再興し、放生山具徳院曼陀羅寺と改めたとする。


曼陀羅寺
まんだらじ

[現在地名]江南市前飛保

日輪山と号し、西山浄土宗。本尊阿弥陀三尊。境内一万三千坪。「尾張志」に一四の塔頭がみられるが、このうち八宇が山内に現存する。元徳元年(一三二九)創建で開山は天真乗運。初め円福えんぷく寺と号したが、寛正三年(一四六二)現号に改めた。開山以来紫衣着用が認められていたが、明応元年(一四九二)の火災により綸旨も焼失し、紫衣着衣のことが断絶した(曼陀羅寺縁起)。天文一〇年(一五四一)後奈良天皇より一二世顕忠が綸旨を受けた(曼陀羅寺文書)

<資料は省略されています>

これにより官寺に列し、香衣を許された。天正一〇年(一五八二)秀吉より禁制が授けられた(同文書)

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改訂新版 世界大百科事典 「曼陀羅寺」の意味・わかりやすい解説

曼陀羅寺 (まんだらじ)

愛知県江南市にある西山浄土宗の寺。日輪山と号する。1329年(元徳1)天真乗運の創建で後醍醐天皇勅願所。初め円福寺と称したが,1462年(寛正3)現寺号に改め,中将姫が織ったという伝蔵の曼荼羅に貴賤の信仰が集まった。近世には寺領230余石,尾張藩の保護修営を受けた。堂宇は正堂が紫宸殿,唐門は建礼門を擬し,特異な寺院建築で有名。寺宝の浄土五祖像,銅鐘,正堂,書院は重要文化財である。
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百科事典マイペディア 「曼陀羅寺」の意味・わかりやすい解説

曼陀羅寺【まんだらじ】

愛知県江南(こうなん)市にある西山(せいざん)浄土宗の寺。1329年天真乗運(てんしんじょううん)の創建で,後醍醐(ごだいご)天皇の勅願所。初め円福寺といったが,中将(ちゅうじょう)姫が織ったという寺蔵の曼陀羅(曼荼羅)により,1462年に改称。浄土五祖像・正堂(紫宸殿(ししんでん)を模したという)・書院などは重要文化財。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「曼陀羅寺」の意味・わかりやすい解説

曼陀羅寺
まんだらじ

愛知県江南(こうなん)市前飛保(まえひぼ)にある西山(せいざん)浄土宗の寺。山号は日輪山(にちりんざん)。1329年(元徳1)天真乗運(てんしんじょううん)の創建で、円福(えんぷく)寺といったが、7世空光が改称した。後醍醐(ごだいご)天皇は乗運に命じて建武(けんむ)新政(1333)の成就と国家安泰を祈願し、後奈良(ごなら)天皇(在位1526~57)のとき勅願所となった。関ヶ原の戦いのとき東軍が軍議を開いた所として知られ、江戸時代には檀林(だんりん)として学徒の教育にあたった。現在、山内寺院八か寺を有する。本堂(正堂)、大書院、浄土五祖画像、中国銅鐘は国指定重要文化財である。そのほか地蔵堂、曼陀羅(いずれも県指定文化財)など寺宝は多い。

[玉山成元]


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デジタル大辞泉プラス 「曼陀羅寺」の解説

曼陀羅寺

愛知県江南市にある寺院。西山浄土宗。山号は日輪山。1329年創建。本堂、書院など国の重要文化財に指定。寺域の一部は公園として整備され、フジの花の名所。

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