木守(読み)コモリ

デジタル大辞泉 「木守」の意味・読み・例文・類語

こ‐もり【木守】

庭園樹木などを守って世話をすること。また、その番人
「―といふ者の、築地ついぢのほどにひさしさしてゐたるを」〈・八七〉

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精選版 日本国語大辞典 「木守」の意味・読み・例文・類語

き‐まぶり【木守】

〘名〙
① 「きまもり(木守)」の変化した語。
狂言記柿売(1660)「かへせや、合せがきとよばわれど、よばわれど、とりのこされし、きまぶりの」
② (比喩的に) とり残された人。最後に残された人。
※玉塵抄(1563)三三「枝にねゆると云は官にとりついてをちずして木まふりなどと云やうなことぞ」
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)一「せいじんして、若みやに忠臣のねつぎとなれ、我らが家の木まぶりと」

こ‐もり【木守】

〘名〙
① 庭園などの樹木を守ること。また、その番人。
※枕(10C終)八七「こもりといふ者の、築土のほどに廂さしてゐたるを」
今昔(1120頃か)二七「木幡に我が居たりし所には、木守(こもり)に雑色一人をなむ置たる」
木材を加工する工人。小規模な造作修理を行なう工人。
東大寺続要録(1281‐1300頃)拝堂篇「木工両座〈加木津木守〉」

き‐まもり【木守】

〘名〙 翌年豊作を祈って、果樹一つだけとり残しておく果実。《季・冬》
※虎明本狂言・合柿(室町末‐近世初)「とりのこさるる木守りの」
※俳諧・毛吹草(1638)五「花々の木守(きマモ)りなるかをそ桜〈定勝〉」

き‐もり【木守】

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改訂新版 世界大百科事典 「木守」の意味・わかりやすい解説

木守 (こもり)

権門,寺社,官衙などの造営用材木の集積・加工場所たる木屋所(きやしよ)の番人。奈良・平安時代,大寺社や権門勢家の邸宅などの造営,修理がやすむことなく続けられたが,それには材木の集積が不可欠であった。そのような材木の集積場所として,泉木津(現京都府木津川市,旧木津町)など各地の交通至便な地点には,各権門,大寺社などの木屋所が設定され,そこに木守が置かれた。例えば泉木津に置かれた東大寺の木屋所は,畠地4町の敷地であったが,1160年(永暦1)には,東大寺の木守3名と15人の寄人(よりうど)が居住し,寺役を務めており,その上に木屋預(きやあずかり)が置かれていたことがわかる。さらに同じ敷地内には,興福寺の木守6人と〈伴類等合十余家〉(〈東大寺三綱申文〉)も居住していた。1126年(大治1)には,興福寺木守らが東大寺の寺役を務めるべきか否かをめぐって,両寺の紛争となっている。泉木津では木材などの交易価格も定められており,木守らは,権門や寺社の課役を勤仕するかたわら,木材などの商業・交易活動を活発に展開していたと考えられる。なお,貴族の邸宅の庭園などの樹木を守ること,およびその番人のことも木守といった。
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デジタル大辞泉プラス 「木守」の解説

木守(きまもり)

香川県高松市、三友堂が製造・販売する銘菓。干し柿を使った餡を挟んだ薄焼き煎餅。

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