10世紀に著された年中行事の書。撰者は惟宗公方(これむねのきんかた)と伝えられ,公方は《令集解(りようのしゆうげ)》を編した直本(なおもと)の子。4巻とも6巻ともいわれるが,今日残るのは巻二の1巻のみ。《礼記》月令篇を範として編せられた書で,一年間に行われる朝廷の儀式・行事のそれぞれについて,関係する先例,法令,伝承などを,六国史や三代の格式その他の文献から引用している。年中行事の古例を知るうえで貴重な書であると同時に,そうした文献のなかには,《弘仁式》《貞観式》などの法令集,《秦氏本系帳》《高橋氏文》などの氏族志の逸書があって,それら逸書の逸文の宝庫でもある。現存する巻二は,4月から6月までの年中行事を収める。古写本に,南北朝時代に書写された前田家尊経閣文庫所蔵本と宮内庁書陵部所蔵九条家本がある。《群書類従》所収。
執筆者:早川 庄八
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「ほんちょうげつれい」ともいい、書名は四季の時候を叙した『礼記(らいき)』の月令からとっているが、内容は年中の公事(くじ)を説いたもの。本朝書籍(しょじゃく)目録に「六巻、或四巻、(惟宗(これむね))公方撰(せん)、記年中公事本縁(由来)」とあり、成立は朱雀(すざく)天皇(在位930~946)ころか。現存するのは4月より6月に至る巻二の1巻のみで、鎌倉時代書写の金沢文庫本(尊経閣(そんけいかく)文庫現蔵)を祖本とする。古今、和漢の多数の書物を引用し、それによって公事の由来を説明する方式をとり、著者自身の説明文はない。しかし引用書のなかには『秦氏本系帳(はたうじほんけいちょう)』など現存しないものも多く、その点で珍重されている。
[今江廣道]
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