李花集(読み)リカシュウ

デジタル大辞泉 「李花集」の意味・読み・例文・類語

りかしゅう〔リクワシフ〕【李花集】

宗良親王家集。上下2巻。文中3年(1374)頃の成立とみられる。春夏秋冬・恋・ぞうに分類した約1000首の和歌を収め、うち899首が自詠。

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精選版 日本国語大辞典 「李花集」の意味・読み・例文・類語

りかしゅうリクヮシフ【李花集】

  1. 南北朝時代の私家集。二巻。宗良親王詠歌を収める。四季・恋・雑に部類し、八九九首の親王自身の詠の他北畠親房などの歌一九一首も収める。親王が延元二年(一三三七)頃から東国を転戦した時の詠作を集めたもの。戦乱経験勤王の情を切実に詠んでいること、長い詞書が史的資料として価値があることなどの特色がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「李花集」の意味・わかりやすい解説

李花集
りかしゅう

南北朝時代の南朝の宗良(むねなが)親王の家集。題名は、親王が式部卿(きょう)であったところからその唐名吏部(りほう)(=李部)にちなむものかという。『新葉集』(准勅撰(じゅんちょくせん)集)の企画と関連させて、1370年ごろから自詠を整理し、吉野に帰参した1374年(文中3・応安7)以後まもなくの成立か。四季・恋・雑(ぞう)に部類した911首(うち自詠899首)、ただし詞書(ことばがき)中の他人の歌を含めれば1000余首を収める。伝本には草稿本系と浄書本系とあるが大差ない。親王は藤原(二条)為世(ためよ)の外孫かつ門弟で基本的には二条派歌風だが、「君のため世のため何か惜しからん捨てて甲斐(かひ)ある命なりせば」のような悲壮な実情歌は、太平洋戦争中にとくに喧伝(けんでん)された。

福田秀一

『井上宗雄著『中世歌壇史の研究 南北朝期』(1965・明治書院)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「李花集」の解説

李花集
りかしゅう

後醍醐天皇の皇子宗良(むねよし)親王の家集。1371年(応安4・建徳2)12月の贈答歌が下限で,その後まもなく自撰か。四季・恋・雑に部類。912首を所収。詞書中の94首もあわせて,後村上天皇・懐良(かねよし)親王・北畠親房・二条為定などとの贈答歌を含む。二条派風の平淡な歌が多いが,境涯にもとづく感懐歌に特色がある。伝本は尊経閣文庫本の系統のみ。「岩波文庫」所収。

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