杵屋六三郎(4世)(読み)きねやろくさぶろう[よんせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「杵屋六三郎(4世)」の意味・わかりやすい解説

杵屋六三郎(4世)
きねやろくさぶろう[よんせい]

[生]安永8(1779)
[没]安政2(1855)
長唄三味線方の家元。1世杵屋正次郎の門弟。文化5 (1808) 年,4世を継ぐ。 10世杵屋六左衛門とともに長唄中興の祖といわれる。特に作曲にすぐれ,7世市川団十郎の知遇を得,『勧進帳』を作曲したことは名高い。そのほか,歌舞伎から離れた純鑑賞曲の嚆矢となった『老松 (おいまつ) 』や『藤娘』『吾妻八景』『松の緑』など。天保 12 (41) 年,六翁と改名。その住所が上野池の端にあったので,以後,この派を池の端派という。

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世界大百科事典(旧版)内の杵屋六三郎(4世)の言及

【吾妻八景】より

…1829年(文政12)4月,長唄を歌舞伎から独立してきかせる新しいこころみとして作られた。作曲4世杵屋(きねや)六三郎。作詞者不明。…

【江の島】より

…一つは《旧江の島》で,山田流箏曲をそのまま移したもの。もう一つは《新江の島》で4世杵屋(きねや)六三郎(六翁)作曲。作曲年代未詳。…

【座頭】より

…作詞勝井源八。作曲初世清元斎兵衛,4世杵屋六三郎。もとは長唄と掛合であった。…

【晒女】より

…作詞2世桜田治助。作曲3世岸沢古式部,4世杵屋六三郎。振付藤間勘十郎(3世藤間勘兵衛)。…

【鳶奴】より

…作詞者不詳。作曲4世杵屋(きねや)六三郎。振付2世藤間勘十郎。…

【藤娘】より

…作詞勝井源八。作曲4世杵屋六三郎。振付藤間大助(2世藤間勘十郎),4世西川扇蔵。…

【蓬萊】より

…(1)長唄。天保年間(1830‐44)の末ごろ,4世杵屋(きねや)六三郎(六翁)作曲。廓を仙境に,遊女を仙女に見立てた作品。…

【松の緑】より

…(1)長唄の曲名。杵屋(きねや)六翁(4世杵屋六三郎)作曲。六翁の末娘せいが杵屋六を襲名したときの記念の祝賀曲。…

【六玉川】より

…新内節は本名題《六玉川秀歌姿見(しゆうかのすがたみ)》。長唄は4世杵屋(きねや)六三郎作曲。本名題《六玉川琴柱の雁(ことじのかりがね)》。…

※「杵屋六三郎(4世)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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