日本大百科全書(ニッポニカ) 「査慎行」の意味・わかりやすい解説
査慎行
さしんこう
(1650―1727)
中国、清(しん)代初期の詩人。字(あざな)は悔余(かいよ)、号は初白(しょはく)。浙江(せっこう)省海寧県の人。原名を嗣璉(しれん)、字を夏重(かじゅう)といったが、1689年(康煕28)不敬罪に連座して改名。1703年に進士に及第、翰林院(かんりんいん)侍講を最終官として13年に引退したあと、ほぼ郷里で過ごすが、最晩年、弟嗣庭(してい)の不敬罪のために投獄され、翌年出獄後まもなく没した。その活躍の時期は聖祖の康煕(こうき)年間(1662~1722)で、勅撰の『佩文斎詠物詩選(はいぶんさいえいぶつしせん)』『佩文韻府(はいぶんいんぷ)』の編纂(へんさん)に参加した。彼は宋詩(そうし)、とりわけ蘇軾(そしょく)の詩に多くを学び、『補注東坡(とうば)先生編年詩』(略称『蘇詩補注』)50巻の労作がある。詩風は自然の趣(おもむき)を尊ぶ穏やかな味わいに特色を示し、宋詩尊重派の代表と目されている。『敬業堂(けいぎょうどう)詩集』50巻・続集6巻がある。
[佐藤 保]
『近藤光男著『漢詩大系22 清詩選』(1967・集英社)』▽『「査初白」(『吉川幸次郎全集16』所収・1970・筑摩書房)』