(読み)シトミ

デジタル大辞泉の解説

しとみ【×蔀】

平安時代から住宅や社寺建築において使われた、格子を取り付けた板戸。上部に蝶番(ちょうつがい)をつけ、外または内側に水平に釣り上げて開ける。しとみど。
和船の舷側に立てて波しぶきや日光などを防ぐ板。平常は取り外しておく。しとみいた。
築城で、城外から見え透くところを覆う、戸の類。
町屋の前面にはめ込む横戸。2枚または3枚からなり、左右の柱の溝にはめる。昼は外しておく。しとみど。

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大辞林 第三版の解説

しとみ【蔀】

建具の一。格子を組み、間に板をはさんだ戸。日光・風雨をさえぎるためのもの。普通、長押なげしから釣り、水平にはね上げて開き、 L 字形の釣り金物で固定する。平安時代に現れ、寝殿造りの住宅や社寺建築などに広く用いられた。蔀戸。 → 半蔀はじとみ立蔀たてじとみ
町家で、戸締まりのために柱の間に立て込む、上下二枚あるいは三枚から成る横長の板戸。昼間は外しておく。ひとみ。
城外から見透かされないように設けた城内の土塁・建造物・植木などの総称。
和船で、舷側げんそくに立てる波しぶきよけ。溝を切った柱と柱の間に板を落とし込んで立てる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


しとみ

日本建築で上から吊(つ)り下げた格子戸。蔀戸(しとみど)ともいう。外に突き上げ、あるいは内に引き上げて開け、軒または天井から下げた金具に引っかけて留める。蔀には構造上多少異なるものがあり、表裏両面に格子を組み、その間に板を挟み込むのが正式で、表のみ格子で裏に板を張るものや、横桟または縦桟だけで板を留めたものもある。蔀は敷居と鴨居(かもい)の間を1枚で吊ると重いので、上下2枚に分け、上蔀を吊り下げ、下蔀を柱間(はしらま)に建て込むのが通例である。このような分けた蔀を半蔀(はじとみ)または小蔀(こじとみ)という。
 蔀は奈良末期~平安時代(8世紀後半)に現れた建具で、内裏(だいり)の殿舎や貴族の邸宅で用いられたが、中世以降になると一般化され、社寺でも使用した。庭内の目隠し用の塀として、土台の上に蔀を連続して立て並べたものは立蔀といい、上部に竹の節を飾りとしてつける。また江戸時代の民家では、格子戸とせずに単に板戸だけを吊り下げたものもあり、これは「しとみ」「しとめ」「ひとみ」または「ぶちょう」とよび、折り畳んで上げるもの、柱に溝を彫り上に引き上げるものなどがあった。[工藤圭章]

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精選版 日本国語大辞典の解説

しとみ【蔀】

〘名〙
① 光や風雨をさえぎるもの。
※書紀(720)皇極四年六月(岩崎本平安中期訓)「是の日に、雨下(ふ)りて、潦水(いさらみつ)庭に溢(いはめ)り。席障子(むしろシトミ)を以て鞍作か屍(かはね)に覆(おほ)ふ」
② 柱の間に入れる建具の一つ。板の両面あるいは一面に格子を組んで作る。上下二枚のうち上を長押(なげし)から釣り、上にはねあげて開くようにした半蔀(はじとみ)が多いが、一枚になっているものもある。寝殿造りに多く、神社、仏閣にも用いる。しとみど。
※蜻蛉(974頃)上「明かうなれば、をのこどもよびて、しとみあげさせてみつ」
③ 船の舷側に設ける、波・しぶきよけで、多数の蔀立(しとみたつ)を立ててそのあいだに板を差し入れるもの。五大力船、小早、渡海船など本格的な垣立のない中小和船に用いる。〔和漢船用集(1766)〕
④ 築城で、外から城内が見え透くところをおおっておく戸の類。
※甲陽軍鑑(17C初)品三九「信玄公御家中城取の極意五つは、一、辻の馬出し、二にしとみのくるわ、しとみの土居」
⑤ 町屋の前面にはめこむ横戸。二枚あるいは三枚からなり、左右の柱の溝にはめ、昼ははずし、夜ははめる。「ひとみ」ともいう。しとみど。

しと・む【蔀】

[1] 〘他マ四〙 風雨などを防ぐために蔀などを設ける。また、波で積荷が濡れないように、苫(とま)、莚(むしろ)などで囲う。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※幸若・敦盛(室町末‐近世初)「おもてにたてをしとませ」
[2] 〘他マ下二〙 (一)に同じ。
※宗湛日記‐天正一六年(1588)「かべは杉の青葉にてしとめ」

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世界大百科事典内のの言及

【蔀戸】より

…寝殿造住宅の外まわりの主要建具。〈蔀〉の語義は〈ひよけ〉〈おおい〉であり,《和名抄》でも〈暖をおおい,光をさえぎるもの〉としている。現在では格子に板を張ったもの,あるいは板を表裏から格子ではさんだものを蔀と呼んでいるが,古くはこれを〈格子〉と呼び,格子を組まず板だけのものを蔀と呼んで区別していたようである。…

※「蔀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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